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戦後の流通変化2

目次を作りました。順番に見てね

青果の流通
 最近スーパーで感じることは、相場が下がっても販売単価は下がらないことです。今までの販売方法は相場に連動するものでした。仕入単価が決まればスーパーはおよそ3割の利益を確保する単価設定をしていました。しかし、近頃は仕入単価が下がっても販売単価は変わらないのです。

イ、賢い消費、損と得
 近年の青果物は特売をかけても安売り効果が上がらなくなっています。つまり、売上に直結しにくいため利益の確保も困難になってきています。根本的な購入数量が減少しています。2004年の1世帯当たりの生鮮野菜の購入量は、175kgと10年前に比べて12%も減少しています。必要な量しか買わない、賢い購入に変わっています。例えばキャベツを1玉100円で売ればつい最近までは飛ぶように売れていましたが、最近では判切りにして68円の方が売れています。これは量と値段で「安い」と感じていたのが、半切りで68円でも必要な分だけを買ったほうが「得」と判断するようになったからです。半切りで68円なら1玉で100円の方が安いのですが、1玉買って使い切れないうより半切りの方が得だからです。つまり日本語でいう「もったいない」です。もったいないことをしないことのほうが損をしないのです。「損」と「安い」を比較したならば安くても損をしない方が得なのです。お金を有効的につかうことが「得」なのです。
「安い=得」から「損をしない=得」に変化しています。安くても売れないわけです。

ロ、不動売価
 経済の進化とともに賢い消費が進んでいます。必要な量しか買い求めない購買は、環境問題からも影響を受けています。大量消費と決別することで消費資源の最小化とゴミという環境負荷の軽減で地球環境の維持を一人一人が考えなければならない時代になっています。賢い消費行動は売価の不動化を促進しています。豊作であっても売値は下がりません。以前は豊作だと流通単価が下がり、その影響で消費販売単価も下がっていました。しかし、昨今では流通単価が下がっても消費販売単価が下がることはありません。量の販売が出来ないので、利益の確保は自然と売価を不動のものとしています。仕入単価が下がっても販売単価を一定にすることで利幅が稼げるわけです。単価を下げれば売れるという販売は終焉をむかえています。また、特売においてもその役割は終わろうとしています。どこも特売競争で消費者は特売になれています。ここにも売れない理由があるわけです。安くて当たり前になっているのです。しかし、安いからといって消費者は得をしたとは感じてないわけです。今後の販売では消費者が得を感じる策が必要になってくるのではないでしょうか?今からの特売は、特売から得買に変わってくるものと予想できます。

ハ、利益確保
 スーパーの利益確保の手段として不動売価があります。しかし、これだけでは利益の確保は困難です。購買の絶対量が落ち込んでいるのですから、販売点数(購買個数)も減少しています。つまり、客単価(客一人当たりの購入金額)が落ち込んでいます。売上は「点数×単価」なので、点数の落ち込みを不動売価である単価で補うことで利益を上げようというものですが単価のみでは限りがあります。どうやって点数も増やしていくかが問題です。そのためスーパーでは付加価値の高いカット野菜などの販売も独自で行なっています。さらに、袋詰めやパックもの以外に1本売りなども行なっています。商品アイテムを小口化することで点数を増やそうというものです。このような小口化の販売は更に賢い消費に拍車を掛けることになり必要以外買わないということを徹底することになります。その結果、総販売量は減少を招く恐れを含んでいます。量販店では他社と売上競争をしながら且つ利益確保しなければならないという非常に厳しい状況になっています。

青果市場流通
 青果の市場流通の変化のあり方は著しいものがあります。従来の市場はセリでの販売でしたが、時代の流通の変化とともにセリから相対取引や先取り取引へと変化していきました。現状のセリは商品単価を決めるだけの役割になっています。
では、セリと単価の関係はどのようになっているのでしょうか。

イ、セリと単価の関係
市場の入荷量が多い場合、単価は下げ基調になります。相場が低いと上級商品のみ値段が付き、下級商品には値段が付きにくくなります。しかし、豊作のときはなりがいいので品質的な格差は価格差ほど大きくありません。
これとは逆に相場が高いと品不足から上級品と下級品の価格差は縮まりますが、品質的には格差があります。下級品でも品不足から価格が上昇しているのです。
通常の入荷量の場合は、適度に価格差があり品質的にも価格差と品質の差異は一致しています。
豊作時は商品が有り余るので市場外流通も盛んになります。しかし、凶作だと品不足から市場外流通は縮小します。先取りでも同じように豊作時は拡大し、凶作だと縮小します。これらは、豊作時には、セリにかける量を調整することで単価の暴落を防ぐ効果があります。逆に凶作だとセリ重視になります。
上級品と下級品との市場相場での比較を表にしてみると
市場相場価格差品質差主導権市場外流通先取り
通常適度適度均衡適度適度
豊作買い手市場拡大
凶作売り手市場縮小

ロ、流通の変化
 しかし、昨今の市場流通では豊作時にも関わらず価格差が縮小傾向にあります。これは豊作時には上級品と下級品の品質格差が小さいところに起因します。スーパーは状況に応じた売価設定をしているからです。
ここに胡瓜、AS、5kg、1ケース、50本入と下級品BSがあります。
このときの相場の単価がAS=1,000円の場合とBS=700円の場合で販売方法を比較してみます。
表題AS 1,000円BS 700円
1本単価20円14円
販売形態1本売り5本1袋
売価30円130円
1本利益10円12円

 お客はAS1本30円が5本だと150円しかし、BSは1袋130円、袋詰めが安いと判断します。このような販売方法だと豊作時のような状況では品質格差が小さいので、利益の高いBSの買いが多くなります。 また、量販店は豊作時には市場外流通や先取りを止めてセリ買い中心を進めて行きます。これにより、セリの扱い量が増え商品がだぶつき、セリのほうの仕入が安できるからです。このように豊作時には下級品をうまく利用して利益を出す仕組みを作っています。
 上記のような販売方法で、仕入単価の安いもので利益を確保する販売(不動売価等)が上級品と下級品の単価格差を縮めています。

現状の市場流通を表にすると
市場相場価格差品質差主導権市場外流通先取り
通常適度適度均衡適度適度
豊作消費者市場
凶作消費者市場

 また、仕入市場の分散化が行なわれ市場の単価をコントロールするようにもしています。一つの市場で全店舗供給を行なう商品仕入を行なえば当然単価は上昇します。消費が低迷しているので少しでも安く仕入れる為です。しかし、この行為は更に市場の低迷に拍車をかけることにもなります。

ハ、マージンミックス
 最近のスーパーではマージンミックスという単価設定をしています。仕入に対して利益から逆算して販売単価をだすのではなく、今までの経験を生かして各商品の売値ごろを利用して、商品別に利益の上乗せ幅を変えて全体的な利益を出そうというものです。
 あるスーパーでのキャベツの仕入が1玉79円、トマトは44円でした。従来の通り単純にマージンを乗せた売価はキャベツが140円、トマトが80円です。しかし、キャベツを128円、トマトを98円としました。「キャベツは競合店で安売りをしている、自分のスーパーはトマトで利益を稼ぐ」ようにしました。個別品目ごとにマージン率を調整して売上高と利益を稼ぐことがマージンミックスです。マージンミックでは野菜と果実を合わせた青果全体や店舗の動向や客層、売れ筋、更に競合店の動向をも視野に入れた価格調整です。
表題キャベツトマト
仕入単価79円44円
通常売価140円80円
マージンミックス売価128円98円

 キャベツ140円を128円で、トマト80円を98円で売った場合、トマトの販売個数が多いので、キャベツの売価を下げても充分に益は取れるということです。
 全体的に相場が下がるとマージン率はあがるようになり、相場が上がると値ごろ重視の販売となりマージン率は下がります。相場が安く、安売りをしても販売数の増加は見込めません。今までの販売は数量で売上を稼いでいましたが、マージンミックスは品質で利益を稼ごうというものです。相場が安いから当然利幅が稼げるが、質が良くなければ売れません。マージンミックスの条件は仕入れ値が安くて質が良くなければなりません。一般的なスーパーでは販売単価が100円以下であれば90円でも100円でも売れ行きは同じなので、マージンミックスを利用して高い野菜の値引きにあて集客向上を図ったりしています。
 現状でのマージンミックスはキャベツとトマトといった品種の違うもので行なっていますが、同じ品種でも階級の差を利用したり、また玉ねぎ、人参、メークなどをセットものにすることでもマージンミックスを利用できます。今後はこのような販売を目にすることがでてくると思います。

ニ、生産者単価
 過去の経験からどのスーパーでも消費者の売れ筋の価格帯が198円売りから100円売りまでだと分っています。そうすると生産者もこの価格帯を前提に生産者単価を決めていかなければならないことになります。現状の消費者の購買動向からキャベツの小売価格は、最も高いときは4分の1カットで100円、最も安いときは1玉100円売りです。このときの売上原価はおよそ65円です。生産者単価から販売単価を決めるのか消費動向から販売単価を決めるのか、それともスーパーの利益管理から販売単価をきめるのか?やはり優先されるのは消費者の購入単価ではないでしょうか。

ホ、仲卸機能の低下
 今までの仲卸の機能は需要と供給の調整をする役目でした。商品が多い時には在庫で商品が少ないときには調達で市場の役目を担っていました。しかし、流通が変化するにつれて産地から量販店、外食産業などへと直接的な取引きが行なわれるようにもなりました。これは中抜きと言われ流通単価を削減して生産者の手取りや量販店などの利益確保をすることを目的とされました。そうすると仲卸の機能が果たせなくなります。しかし、現実では直接流通はまだ少なく、直接流通で補へない部分での流通量の調整を行なっています。しかし、昨今では消費の低迷と輸入過多、一時的な豊作などで仲卸機能としての流通量の調整が出来なくなってきています。 

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