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中央市場法改正

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市場の自由化                        
 世界各国で貿易の自由化が進む中、国内においても市場の自由化が浮上してきており、2009年4月1日を実施日とし、委託手数料の自由化と市場外流通の緩和などが盛り込まれた省令改正が行なわれます。省令改正で、業務用の国産農産物を卸業者が直接外食や小売に販売できたり、市場開設者の合意によって契約を結んだ国産農産物を仲卸業者が生産者から直接荷引きできるようになったり、インターネット取引で市場開設者の承認を得れば市場内に現物を搬入しなくても卸売りができたりします。市場の自由化で考えられるのは、卸市場は販売手数料を受け取る販売から、相対取引による値決めの販売、つまり手数料商売から利益商売による競争主義そのものになるものと容易に予測することはできます。相対取引が意味するのは、卸の直接的な産地進出ではないでしょうか。このことにより、産地の獲得は経済連や農協、卸、仲卸の争奪戦になることは明白です。
 さらに、ここで差がつくのは商品力です。産地直取引での最大のメリットは商品格差です。同じレベルの商品を産地直接取引きで行なうと、その付加価値は鮮度(輸送距離、輸送方法)とか、流通コストの削減に主が置かれることになります。これは、何処でも同じ現象として生じることなので、付加価値としては期待できません。そこで、付加価値を高めるのは、やはりなんといっても、商品自体の付加価値を作り出さなければならないことになります。このように推測してみますと、今必要なのは産地開拓ではなく、産地の育成です。現状を見てみると、上方のバイヤーなどが熊本などの生産地に赴き、やたらと産地開拓にやっきになっています。これは一つの足がかりでしかなく、本当の意味での知識を持った産地育成による開拓にまでは及んでいません。なぜならバイヤーは契約するのみで、どのような商品を作って欲しいとか、どのような農法で作らなければならないとか、土壌の構成がどのようになっているかとか、詳しくは知らないはずです。内容を知らないでどのような栽培契約をしようとしているのかが不思議でなりません。現状は栽培契約でなく買い取り契約などのような、ただ単に行なわれる商品取引上の契約でしかありません。契約はするが作るのは相手任せの契約になりがちではないかと推測します。現に日本の有機栽培の割合は農業全体の2%程度だと言われています。このことからも殆どの契約が意味を持たいないものだと言うことは簡単に想像できることです。

市場法の改正
 平成16年2月24日に「卸売市場法の一部を改正する法案」が国会に提出されました。可決されれば施行期間は交付日からとなりますが、委託手数料に関する規定は5年後の平成21年4月1日からとなります。

趣旨
 最近の卸売市場をめぐる環境の変化に鑑み、生産・消費両サイドの期待に応えられる「安全・安心」で「効率的」な流通システムへの転換が図られるよう、卸売市場における取引規制の緩和及び適正な品質管理の推進、卸売市場の再編の円滑化等の措置を講ずる。

概要
1、卸売市場における品質の管理の高度化
  品質管理が徹底した、安心できる生鮮食料品流通の確保を図るため、農林水産大臣が卸売市場整備基本方針等において、品質管理の高度化のための措置を定めるとともに、開設者が業務規定において品質管理の方法を定めることとする。
2、商物一致規制の緩和
電子情報通信技術を活用する取引法により、開設者の承認を受けて卸売を行なうときは、市場内に現物を搬入せずに卸売を行なうことができることとする。
3、卸売業者等の事業活動に関する規制の緩和
卸売業者等の事業活動の自由度を向上させるため、卸売業者が買付集荷、市場外での販売、機能・サービスに見合った委託手数料の徴収を行なうことを可能とするための規制の緩和等を行なう。
4、卸売市場の再編の促進
  流通の広域化や情報化の進展を踏まえ、中央卸売市場整備計画に、地域の特性・要望を充分に配慮し、市場ごと自由性を基本に、運営の広域化または地方卸市場への転換が必要な中央卸市場の名称を位置づける。また、卸売市場の再編を円滑に進めるための手続規定を整備する。
5、仲卸業者に対する財務基準の明確化
  仲卸業者の業務の適正かつ健全な運営を確保するため、開設者が業務規定で仲卸業者の財務基準を定め、これに基づき経営の改善を図ることにする。
6、取引情報公表の充実
  卸売業者が行なう取引情報の公表について、より透明性の高い市場取引を確保する観点ら、セリ・相対取引等の区分ごとの販売予定数量を公表する等、公表内容の充実を図る。

市場の自由化が及ぼす影響
法制化による内容
・手数料が自由に決められる
・商物一致でなくてもよい
・受託拒否ができる
・売買の自由

各流通段階での影響
産地・産地及び生産者の製品の差が表面化する(デイレクトに商品販売単価に跳ね返ってくるので)
・中抜けのための産地グループ化が進む
・落ちこぼれ生産者が出る
・競争激化により技術革新が進む
・販売力のない市場には商品を卸さないようになる
・上部団体からの借入のある資金力のない生産者は、中抜きはできず行き詰る
・生産者は自ら中抜きに参加し農協・経済連を通さずに消費者・量販店・仲卸に販売する
・価値が低い商品を生産すると生産者手取り金額が減る
・高付加価値生産者の手取りは上がる
・委託販売から値決め販売に変わる(しかし、単価設定がしにくい)
・出荷奨励金が減る
・商物一致の原則がなくなり、取引区域が自由になる

・卸の産地買付が始まる
・他市場との産地獲得競争が起こる
・産地の囲い込みが行なわれる
・市場間格差が広がる
・他県へ仲卸を通さない直接販売が始まる
・競りの割合が減少し相対取引が盛んになる
・手数料商売から利益商売になる
・仕入強化に拍車がかかるようになる
・卸の受託販売から買付販売へと変わる
・産地密着型に変わる
・買付が進むため出荷奨励金にも影響が出る
・完納奨励金の減少により卸離れする仲卸が増え、収益を悪化させる
・完納奨励金が歩合制になり、協力か離脱の仲卸関係となる

仲卸
・卸の力によっては他市場からの調達が増える
・卸と仲卸の垣根がなくなる
・卸・仲卸間で競争が表面化する
・仲卸同士の統廃合が進む
・歩金収入が減り赤字に拍車がかかる
・仲卸組合の崩壊
・組合の保証金が不要になる
・組合保証がなくなり、他の仲卸の連帯から逃れられる。

企業間での影響
・農協間の力関係に差が生じる
・農協の力が衰退する
・農協などとの関係が新しく構築される(生産者・市場などの)

量販店
・大手量販店バイヤーが産地契約に走る
・普通の商品(付加価値のない商品)は単価競争の契約になる
・逆に付加価値のある商品はさらに高く契約するようになる

消費者
・手数料が下がっても、販売単価が下がることはない
・中抜き(産直)により流通速度が速まり新鮮なものが届くようになる

資金
・卸の産地買付により、支払いが従来の3日から遅くなる
・全国的に市場の資金の流れが遅くなる
・生産者は資金的に追い込まれる

 以上のようなことが考えられますが、この中にはプラスに作用するものとマイナスに作用するものとがあります。ここで問題となるのがマイナスの面での影響です。
・委託手数料の自由化にともない、委託手数料が減らされた場合、卸の収入が減り経営危機に陥る。
・委託手数料を上げた場合は、生産者手取りが減る
・卸の収益強化により完納奨励金が減り、倒産する仲卸が増える
・商物不一致になり、セリ機能が失われてくる
などなど沢山の課題が累積してくるものと考えられます。

では、なぜこのような問題が浮上してくるにも係わらず市場の自由化を進めるのでしょうか?
1、市場外流通が増え、卸そのものの機能を見直す必要に迫られている
2、競争によってふるいに掛け、いい業者のみを維持する(流通効率をあげるため)
3、市の財政悪化にともない、市場運営の民営化を推進する必要がある
4、自給率向上のため、生産者間の競争を活発にして、技術革新を促がす
5、景気回復のため、国内生産を活発にするため
6、海外製品に勝つために、流通単価を抑え競争ができるようにするため
7、以上の事柄をクリアしていくためには、農業の運営を農家から法人へと進め、規模の拡大と活性化を狙っているのではないか
などなどが考えられます。

以上のようなことを考えみて総合的にどのように変化してくるのだろうか?
1、セリ機能が失われ、通常の商売のように値決めで商売が行なわれる
2、このため生産者は値決めの基準である、生産原価の把握が必要になってくる。
3、卸と仲卸の間では、競争と共生の2通りの分類が進んでくる
4、産地契約、産地開拓が進み、産地の争奪戦が始まる
5、悪い産地では死活問題として廃業が増える
6、産地契約の結果、消費者の意向にたった商品作りが求められてくる
7、農業経営が企業化してくる
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