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水の高騰

ワールドウォッチジャパンより
【水資源】水の価格が世界各地で上昇
Eco-Economy-Update 2007-4

 世界各地で水の価格が上昇または急騰している。過去5年での各自治体における、水道料金の値上げ率の平均を見ると、アメリカは27%、イギリスは32%、オーストラリアは45%、南アフリカ共和国は50%、カナダは58%だった。チュニジアでは過去10年間で灌漑用水の価格が4倍になった。
14か国に関する最近の調査によれば、各自治体の水道料金の平均は、1立方メートル当たり、アメリカの66セントから、デンマークとドイツの2ドル25セントという幅がある。それでもなお、消費者が水の本当のコストを負担することはほとんどない。それどころか、実質的に(ときには文字通りに)無料で水を供給している政府も多い。
平均的なアメリカの家庭での水の使用量は、年間約480立方メートルである。この使用量で、ワシントンの住宅所有者が支払う金額は約350ドル(1立方メートル当たり72セント)だが、グアテマラ・シティのスラムで同じ量の水を業者から購入すれば、1700ドル以上かかる。
人々が支払う水の価格は、主に3つの要因で決まる。供給源から消費者までの輸送コスト、水の総需要、補助金である。浄水・消毒費用もこのコストに加算されることがある。
水の輸送コストは、移動距離と運び上げる地点の標高の高さに大きく依存する。人口が増加している都市や町の場合、高まる需要を満たすために数百キロメートルも離れた場所から水を引かなくてはならないかもしれない。カリフォルニアの都市は、長い間、数百キロメートル離れた地点から水を運んできた。また、中国は、長江から、北京や北部の省で急速に人口が増加する地域へ水を輸送するために、3つの運河を建設している(全長はそれぞれ1156キロメートル、1267キロメートル、260キロメートル)。
地下水の汲み上げや、標高の高いところへ水を運ぶことは、エネルギー集約度が高い。480立方メートルの水を、標高が100メートル高いところまで汲み上げるためには、約200kWhの電力が必要である。1kWh当たり10セントでは、コストが約20ドルになるが、これには揚水機、井戸、配管の費用は含まれていない。100メートルの汲み上げは、地下水の供給量が減少している井戸では珍しくない。たとえば、北京などの華北地域では、1000メートル汲み上げなくてはならないこともある。
標高2239メートルのメキシコ・シティは、水供給の一部を1000メートル以上の標高差まで汲み上げなくてはならない。運営コストだけでも、年間1億2850万ドルに達する。この揚水に必要なエネルギー量は、近郊のプエブラ市(人口830万人)で消費される総エネルギー量よりも多い。ヨルダンのアンマンは、標高の高い地域への水の輸送で似た問題を抱えている。
大半の地域では、水は市場で購入または取引されていない。しかし、アメリカ西部、オーストラリア、チリでは、正式な水市場が形成されている。実際に水市場が存在するところは、水の希少価値がいかに高くなりえるか(つまり、他の潜在的利用者が喜んで支払う金額)の例を示す。2006年12月、オーストラリア市場での水の価格は、長引く干ばつが一つの原因となり、年間で20倍まで増加し、1立方メートル当たり最高値の75セント弱に達した。この価格には、水そのものの費用が反映されているだけで、処理や輸送にかかる費用は含まれていない。アメリカ西部には、水不足が深刻なため、菜園の灌漑用として1立方メートル当たり1ドルで家庭排水を販売している都市もある。
インドでは、水不足のために、農作業をするよりも水を売ることで儲けようとする農家も出てきた。以前は作物の灌漑用水として使っていた水を、井戸から汲み上げて近郊の都市へトラックで輸送する。農家は、食料ではなく、水を収穫していて、同時に地下水位を急速に低下させている。
人々が水のために支払う金額の最終的な決め手になる要因は、補助金の量である。水の補助金は極めて大きいことがある。たとえば、デリー市の水による収益は、年間の水供給に伴う費用の20%に満たない。世界で平均40%近くの自治体の水供給事業が、基本的な運営と保全の費用をまかなえるほど、水の料金を徴収していない。
補助金の恩恵を受けるのは高所得世帯だけの場合が多い。よくあることだが、途上国の都市部のスラム住人は、自治体の水供給へのアクセスがなく、水をトラックで運んでくる民間の供給業者から水を買う。この販売の主導権を握るのは悪徳業者であることが多いこともあり、価格は非常に高く、通常は1立方メートル当たり1ドルを超える。たとえば、アジアの都市では、民間業者から水を購入せざるをえない世帯は、自治体の給水システムに接続されている中所得世帯より10倍以上高い金額を支払っている。ウガンダの最貧困層の家庭では、水の費用が所得の22%を占め、エルサルバドルやジャマイカの人々は、水のニーズを満たすために、所得の10%以上を使っている。
水の補助金は途上国に限られたことではない。たとえば、カリフォルニア州セントラルバリーの農家は、同州の水使用量の約5分の1を占めながら、1立方メートル当たり平均1セント強と、ロサンゼルスの飲料水の価格のわずか2%、水の補充コストの10%に過ぎない。ユタ州中央部でのアメリカ政府による新規計画に関するある分析によると、この計画によって供給される水のコストは、灌漑業者が支払う金額の40倍近くになると予測されている。
水は、生命を維持させ、貴重で、ますます不足する資源だというのに、現在は、まるで価値がないかのように管理されている。もっと分別のある方法で水を管理するための重要なステップのひとつは、水の価格に価値と希少さを反映させることだ。そうすることで、特に低所得世帯に打撃を与えるような、価格の大幅な値上げが生じる可能性があることは言うまでもない。
この問題を回避する最善の方法は、使用水量が少ない場合(基本的なニーズを満たすために必要な量)は安価で、使用水量の増加に応じて水量区分ごとの単価が高くなるという料金体系を活用することだ。
たとえば、大阪市では、毎月の使用水量が10立方メートル以内までは定額で、超過した場合は、1立方メートル82セントから3ドルまで段階的に料金が上がる。さらに、貧しい世帯でも安定した水供給を確保できるようにすることで、民間業者の価格つり上げから守ることもできる。
妥当な水の価格を設定することで、短期的には政治問題を引き起こす可能性はあるが、長い目でみれば著しい効率向上が期待でき、政府予算のムダな流出をなくすこともできる。価格が高いと、農家や業界は水の利用の効率化を進め、一般家庭も省水型の家電製品を購入するようになり、水の無駄遣いも抑制されるだろう。効率向上の多くは比較的安価で、ほとんどは元が取れる。たとえば、温水の使用量を減らすための改善は、水だけでなくエネルギーも節約できるので、いずれは元が取れる。
エネルギーと水のつながりは実に多い。採水や水の輸送と処理には、大量のエネルギーが必要なだけでなく、1970年代の石油価格ショックが省エネを促進したように、水の価格設定に本当のコストを反映させることで、工業、農業、一般家庭でも似たような節水努力が促されるだろう

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