近未来流通2008-10

近未来流通2008-Ｎｏ10
様々な影響による流通変化
１２、経済
飽和現象
　現在の国内を見渡すと、商品が溢れかえり飽和状態となっています。コンビにもあちらこちらに建ち、不便を感じることが少なくなっています。不便を感じることがないということは、商品が充分に足りているという事です。今までの日本は先進諸国に追いつくために頑張ってきました。その結果今は経済大国としての地位を確保しています。しかし、経済大国とは、経済が発展している間は大丈夫ですが、経済が慢性的に伸び悩んできたならば、今まで築いてきたものは、崩れていきます。今、まさにこの様な状態になろうとしています。経済の成長が頭打ちになろうとしています。つまり経済が飽和状態にあることになります。飽和状態に経済があるのならば、これ以上の消費の拡大は困難になります。飽和状態での販売は、シェアの拡大ではなく取り合いになります。つまり生き残りを賭けた戦いとなっていきます。
　今の国内の経済状況を経済成長期と比較するとどのように変わってきているのでしょうか？　その変化を読み取ることで、今後の生き残りを賭けた戦いに勝ち抜くことができます。　しかし、それ以前に経済の成長は、国内全体の問題であるので、生き残りを賭けた戦いをしないようにすることが大切です。その為には、飽和状態にある経済がどのようなものなのか、しっかり認識しなければなりません。

経済の比較

摘要	成長経済	飽和経済	備　考
集団力	協　力	共　生	協力は勝つ為の手段、共生は生きる為
力を入れる所	製造	開発	消費を拡大させるには、開発優先
欲望	物的	精神的	物から心の充足へ
資源	消費	循環	使い捨てから再利用、循環へ
不足するもの	商品	資源	資源にかげり
主義2	競争	勝負	共存共栄から商売敵へ
成長	吸収	統合	拡大からメガへ
力	分散	一極	統合により都市集中化
産業	ハード	ソフト	機能の問題
効率	機械	システム	物的なものから情報化へ
集約	資本・労働	技術	コストを考えると技術開発も共同で
シェア	拡大	奪い合い	有限なもの
市場	売り手	消費	決定者は消費者
流通	間接	直接	中間業者の省略
情報	通信	ネット	電話からインターネットへ
販売	対面	無人	人件費削減
価値	量	質	量的な飽和へ
付加価値	質	質＋機能	複合的な質の追及へＣ
提供	サービス	ホスピタリティ	物から心へＣ
社会	一般	格差	純然たる資本主義へ
憧れ	ブルジョア	セレブ	階級からお金へ
店舗展開	個数	大型	集中型へＣ
商品	値段	価値	商品の内面的価値へ
生産	大量	個別	カスタマｽﾞ
内面的価値	機能	機能＋安全性	物から健康へ
ニーズ	大量消費	個別	集団から個人へＣ
経営	大量生産	品質	消費経営から価値の経営へ

　一寸ばかり考えただけでも、いろいろなことが思い浮かびます。が飽和状態にある経済からの脱却はどのようにしていかなければならないのでしょうか？　まずは飽和状態を緩和するための方法としては、国内販売を海外販売へとシフトすることです。しかし、これでは、国内の状況が変わるわけではありませ。これでは逆に空洞化と技術の流出が起こり、日本経済はマイナスへと向かいます。
　次に考えられるのは、容量の拡大です。飽和状態を緩和するためには、もっと大きな入れ物を用意すればいいのです。つまり小さいバケツで水が溢れているのだから、もっと大きいバケツを用意すれば、この状態は回避できます。しかし、この問題は、どのようにして大きな入れ物を用意するかです。大きな入れ物とは新しい市場の開拓です。シェアを奪い合いから拡大へ転換できる方策が必要となります。ニッチトップなどがこの類です。