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今後の社会と農業-1

目次を作りました。順番に見てね

今後の社会と農業
資料  図説食料・農業・農村白書  平成13年度より
食の国際化
食の安全
 わが国を取り巻く情勢はここ数年で大きく様変わりしてきました。ひとつは流通のグローバル化ともうひとつはインターネットに見られる情報の高速・広域・共有化です。しかしながら、これらの情報や流通網が有効に使われているとは思えません。もっとも身近な問題としてBSE(牛海綿状脳症)の発生は世界に食の安全性の問題を提議するとともに流通のグローバル化の認識と情報の活用についても問題を提議しました。1986年にイギリスで初めて確認されたBSEは、イギリス以外の欧州各国でも発生が確認され2000年には欧州を中心に発生が増加し消費・生産に大きな影響がでました。一方日本では2001年9月に初めてBSEが確認されました。このことは事前に日本でも発生する可能性があると指摘されていたにも拘らず、不安を招くことを恐れ政府は国内では安全であるとして何の対応をとることをしませんでした。この結果BSEは日本に上陸し発生を招き、不安を拡大させ、消費の低迷にさらなる拍車をかけ、一段の景気後退を招きました。同様なことは中国の冷凍ほうれん草でもいえるのではないでしょうか?これは生野菜には規制があり冷凍物にはないという矛盾がもたらした結果ではないでしょうか。これらのことは食が国際化しており、国境を越えた食の管理のあり方を協議していかなければならないことを意味しています。先進各国においては原料生産段階から加工・流通・消費者までの一貫した安全確保の追及と各段階での履歴が管理できるシステムの構築がなされてきています。

トレーサビリティ・システム
 こうした状況の中で食品事故発生時の追跡調査や回収を容易にする生産管理情報を提供して消費者と生産者の「顔の見える関係」を確立し、食の安全性と信頼性の向上をさせていかなければなりません。このように原因の訴求できる管理システムをトレーサビリティ・システムといいます。この情報管理システム「トレーサビリティ・システム」が意味しているものは責任の追及ではなく原因の追究です。最初に問題が発生すると問題がどの段階で発生したかつきとめそれ以上に被害が拡大しないようにルートの遮断を行い、それ以前での商品回収を速やかにして発生場所と原因の追究を明確に出来る事と「顔の見える関係」で、生産者は販売業者に安全性の重視を認識させ、消費者には生産から販売までが透明になる事で安心をもたらします。このことは付加価値とホスビタリティ・マネージメントにも関与してくるところです。
トレーサビリティ・システム


国際的な機関による食の安全基準
 食品流通の国際化が著しく進んでいる現在、食品の安全性についても国際的な協調が囁かれるようになってきました。そのため各国は自国の基準のほか国際的な基準もクリアするといった二重の基準達成が必要になってきました。またその対象範囲も広範囲になりつつあります。このような食品の安全規格を策定する国際的機関としてコーデックス委員会があります。

コーデックス委員会
 FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が合同で国際食品規格の策定を通じて消費者の健康を守るとともに、食品貿易の公正な実施を確保することを目的として設立された機関です。また、WTO(世界貿易機関)の衛生植物検疫措置協定(SPS協定)においては、コーデックス基準により加盟国間で調和の取れた衛生植物検疫措置をとることを促進することが規定されています。

リスクコントロール
 世界の食糧政策の潮流としてはWTO体制下における自由貿易を推進しつつ、それに派生する食品の安全性の確保や環境問題など消費者の関心にも配慮した政策形成の重要性が認識されてきています。そこで食の安全性におけるリスク分析の必要性と重要性が問われてきています。コーデックス委員会のリスク分析によればリスクは「リスク評価risk assessment」:食品に含まれるハザード(健康に悪影響をもたらす可能性のある食品に含まれている物質、あるいは食品の状態)を摂取することによってどの程度の確立でどの程度の健康への影響が生じるかを科学的に評価する過程、「リスク管理risk management」:リスク評価の結果を踏まえ全ての関係者と協議しながらリスク低減のための複数の政策・措置の選択肢を評価し適切な政策・措置を決定・実施する過程。この過程において消費者の健康保護を第一の要素として、それぞれの選択肢の費用と便益、技術的な達成の可能性やその他の諸要素を総合的に考慮して政策・措置の決定を行う、「リスク・コミュニケーションrisk communication」:上述の各過程において全ての関係者間で情報・意見を提供・交換する過程の3つの過程要素から構成され、リスク分析に基づく食品の安全行政を効果的に実施するために、リスク評価とリスク管理の「機能的分離」が必要であるとともに「相互作用」も不可欠であると指摘されています。同一部局による評価と管理ではリスク管理者の思惑により透明性を欠くことにもなりうります。その反面両者の情報交換も必要であり相互作用により管理体制はより確立してきます。このようなリスク管理を行うにあたり総合的な管理「農場から食卓まで」といったトレーサビリティ・システムの導入が不可欠になってきます。フランスでは農漁業省、経済省及び保健省がリスク管理に特化し、フランス食品安全庁(リスク評価とリスク管理の機能的分離の考え方で独立した機関として1999年3月に設立)はリスク評価を担当しています。また、イギリス、ドイツ、デンマーク等でも行政の機能的分離が行われており、2002年1月のEU農相理事会では欧州食品安全機関の設立が決定しました。

食の自由化WTOとは
 世界貿易機関のもとにおいて貿易を自由化して経済の促進を促すもので、関税率の引下げや輸入量の割当、輸入規制の緩和などを行うほかサービス貿易や知的所有権問題などもカバーする新しい世界の貿易秩序の構築を目指しています。

中国のWTO加盟
 2001年11月のWTO閣僚会議において中国のWTO加盟が承認され同年12月11日に正式加盟しました。加盟にあたっては次のような合意条件が付されることになりました。
ヽ胴颪求めた品目について関税を引き下げるとともに、輸入数量制限を行っている品目について関税化を行い、関税割当の対象とする。
⇒⊇佇篏金は将来もこれを使用しない。
デミニマスを総生産額の8.5%とする。(WTO農業協定上、本来は削減対象となる助成であるが小額であることをもって削減対象から控除されるものの上限)
づ咯綛颪忘鏝彩鸞の対象外とすることが認められている一部の助成について、削減約束の対象とする。
ゲ談噌颪話羚饂塞覆陵入急増による市場撹乱またはその恐れがある場合には協議を提議するとともに、関税引き上げまたは輸入数量制限(セーフガード)が出来るものとし加盟後12年間認められる。

 このような条件の中においての加盟は中国国内でも農業、IT・通信、自動車などの業界から強い反発を招きましたが、中国国内では失業、内需不振、格差を抱えながら経済成長が停滞し始め構造的な不況の迷路に入り込んでしまった為、これを脱すべく外圧のWTOに加盟することにより開放を促進させ外資の呼び込みに貢献させることを目論みとして加入に踏み切ったと思われています。中国のWTO加盟は、貿易や投資に関して中国の恣意性を排除し、国際的なルールに基づく対応が可能となるという側面と低賃金を武器とする価格競争力を前面に輸出攻勢が強まる可能性も高いと推測されています。

韓国のWTO反対運動
 韓国の農業人口は93年以降、ウルグアイ・ラウンドをはさんで百万人近く減少し、後継者不足を招きさらに高齢化が進んでいます。働き手としても女性の割合が高くこの傾向は今後も加速して行くものと思われます。また、農地も289千ヘクタールが減少しています。このことにより農家の経済は悪化の一途を辿り、農家所得を補償する制度がとられないまま輸入自由化政策がとられ、輸入増加による価格破壊が進行しています。この影響を受け約40%の農家が生活費も捻出できずに貧困化に直面しています。

 このようにウルグアイ・ラウンド以降、経済のグローバル化が急速に進行し今まで保護貿易になっていた国々は自由競争化の荒波にさらされています。この経済状況に有利な条件は低労働賃金と大規模農業にみられる量による生産効率の高い国が有利であり逆に言って国土の狭い国や大量生産技術のない国、賃金の高い国は輸入拡大を強いられることになることを意味しているのではないでしょうか。

世界貿易への推移
 ガット(関税貿易一般協定)は自由貿易の推進、世界貿易の拡大を目指して経済を発展させることを目的とする国際条約であります。経済のグローバル化に伴い大規模関税交渉を繰り返し、ケネディ・ラウンド、東京ラウンド、ウルグアイ・ラウンドへて関税が大幅に引下げられて交渉の終結とともに世界貿易機関(WTO)が発足しました。

ガット体制下における農業交渉の変遷
表題農産物関税非関税障壁(輸入数量制限)非関税障壁(輸入数量制限以外)
ケネディ・ラウンド 削減に合意議論はされたが、合意は得られず議論はされたが、合意は得られず
東京ラウンド削減に合意自由化・輸入拡大に合意議論はされたが、合意は得られず
ウルグアイ・ラウンド削減に合意包括関税化に合意農産物について国内支持・輸出助成金の削減について合意


ウルグアイ・ラウンド農業合意の概要
区 分対象施策約束実施方式(95−2000)
国境措置関税農産物全体で平均36%(品目ごと最低15%)削減
輸入数量制限(非関税措置)原則としてすべての輸入数量制限等を関税に転換し、関税と同様に削減
国内支持市場価格支持、不足払い等助成合計量を6年間に20%削減
輸出競争輸出補助金金額で6年間に36%、対象数量で21%削減


世界の農産物の需給
 世界の穀物等の需給動向を長期的に見ると、おおむね10年ごとに過剰期と逼迫気とを繰り返しています。1960年代後半は過剰期であり国際価格も低水準でした。70年代ではソ連が穀物純輸入国に転じ、世界的な異常気象で供給減及び原油価格の高騰により外貨を獲得した産油国による需要増により国際価格は急騰しました。80年代に入ると米国の生産拡大や発展途上国においても資材技術革新により供給が増加しました。しかし世界不況やラテンアメリカ諸国の債務危機等を背景として穀物需給は過剰基調となりました。その後生産調整の実施と北米を中心とする干ばつ、ソ連・中国の不作により90年代に入ると過剰在庫は解消し穀物在庫は低下傾向で推移し95/96年には中国が一時的にとうもろこしの純輸入国に転じ米国の天候不順と相まって穀物在庫は過去最低水準となり、とうもろこしの価格は過去最高を記録しました。2001/02年度の需給動向は豊作傾向にあり価格は軟調に推移し、当面はこの傾向が続くものと見込まれています。

二国間自由貿易協定(FTA)
 1990年代に入ると地域経済圏の形成はかってない規模とスピードで世界的に広がってきています。欧米などでは欧州統合などに見られる地域主義の通商政策をとることにより、人、物、金、情報の移動を活発にさせ国内経済の高度化を促進し、経済改革の原動力として期待しています。これらのことによりFTAはWTOを並ぶ重要な通商政策の柱の一つと位置づけられ、多国間主義と地域主義が共存する時代となりました。大きな動きとしてはASEAN自由貿易地域(AFTA:92年発足)、北米自由貿易協定(NAFTA:94年発足)、欧州連合(EU)の拡大、さらに米国は2005年を目標に南北米大陸を跨る米州自由貿易圏(FTAA)があり、地域主義の活動により世界はブロック化への方向へと向かいアメリカ大陸・欧州・アジアの3極化になっています。

FTA(自由貿易協定):Free Trade Agreement
○関税や数量制限といった障壁の相互撤廃を基本目的とする。
○サービ貿易の自由化、投資の保護・自由化、基準・認証の統一、知的財産権の保護など経済全般にわたる連携の強化。
○各国が得意分野に特化し地域経済力を効率化する。

FTA締結件数
48−59年60−69年70−79年80−89年90−2001年
5266677214

日韓自由貿易協定の行方
 わが国は2002年1月に初めてFTAをシンガポールと締結しました。日韓の交渉は民間中心の研究に端を発し、日韓の経済人によるフォーラムを通して両国の早急な締結を訴える共同宣言が発表されました。しかし韓国が抱える最大のネックは農業問題であり、農産物市場開放反対のため暗礁に乗り上げています。しかしこの問題をクリア出来なければ将来的に中国やアセアンなどともFTAの締結は困難になり東アジア経済圏は確立出来ません。
日韓両国共通のキーワードは「国際競争力の強化、産業の空洞化の防止、アジアの連携」で貿易・投資拡大を通じた分業の高度化といった経済メリットは非常に大きな物になるという期待感もあります。
期待論
巨大市場の誕生      市場規模はNAFTA,EUに次ぐ経済協力体
国際競争力の強化     企業間の競争が誘発される。重複投資を抑制できる。
投資増加と雇用の創出   総合投資における外国企業の誘致と雇用の創出
人的資源の相互補完    高齢化の進む日本に対して韓国は20年程度の余裕があり韓国の人的資産と日本の技術とで生産性を向上できる

中期的にみた世界食料需給
 食料の供給面から見てみると、これまで世界の人口増加に対応した食料供給を支えてきた単収の伸びに鈍化がみられる。単収の伸びは品種改良や潅がい面積の拡大等により維持されてきたが、今後も品種改良に投資された金額に相応しい単収が伸びるかどうかは不透明です。また、スターリンク問題などにみられる安全性の問題から開発しても販売に結びつくかは不安が残ります。アフリカ諸国においては農業労働力の減少による供給不足が生じています。アフリカ諸国でエイズによる失われる農業労働力はナミビア26%、ボツワナ及びジンバブエで23%、モザンビークで20%と推測されています。また、既存の潅がい地域の一部では水資源の枯渇、乾燥地域の拡大や塩害が発生しています。これは地球の温暖化が原因とされ自然災害の件数も最近では2000件をまだ増加する傾向にあります。洪水、砂漠化、暖冬と農作物に及ぼす影響は多大であり強いては人間自身の生命も危険に晒されています。

 このような状況を踏まえて考えて見ますと日本国内の生産性の向上と生産拠点の確保及び拡大を今から図っていく必要があると考えます。何れ農業生産は国内に帰さずにはいれない状態になると予想しますが輸入も減少してくるなか世界の食料事情は逼迫の度合いを増すばかりになると見込まれます。そのようになってくると日本は国内技術と生産性を駆使して輸出を行うことになってくると思われます。そのためにも現時点での生産拠点作りの計画と実行が必要となってきます。

グローバル化する世界で経済成長がもたらすもの
 低賃金を武器に輸出攻勢をかけてきた国々も経済の成長に伴い人件費は上昇しいずれ採算の取れない状況になることは容易く想像することが出来ます。また、経済が裕福になると食生活においても変化をせざるえない状況に陥り高級志向が強まると思います。これらのことが要因となり輸出は拡大するのではないでしょうか。それは輸入と輸出のバランスを如何にとることが重要なのか述べています。その輸出方法は商社を通してする方法と産地が直接する輸出を行う方法とがあり、直接的儲けの向上から後者である産直的な輸出が拡大してくると想像します。産地からの直接的な輸出例として北海道十勝地方で馬鈴薯の生産を中心に行っている農業組合では台湾の薬膳料理に欠くことの出来ない「長芋」を現地のニーズにあった規格で生産し台湾に輸出しています。生産農家は60戸で台湾には月産100トンを輸出しており、その販売価格は国内相場の2倍近いキロ800円で販売を実現しています。これは持続的競争優位のひとつの例にしかすぎませんが今後はこのような形の技術格差が輸出されることでしょう。    


ワールドウォッチジャパン環境問題へのリンクです


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