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近代の農業事情  米の農業政策

目次を作りました。順番に見てね

米に見る農業政策                        カロリーベースで1960年に79%あった食糧自給率は、いまや40%と先進国中最低水準になっています。私たちの主食であるお米は490%という高関税に守られています。しかし、各国からはWTO(世界貿易機関)を通して関税の見直しを求められています。このような交渉で、もし関税率が100%になれば日本の農業は壊滅すると言われています。農林水産省は1999年、農業基本法を廃止して、40年ぶりに食糧・農業・農村基本法を制定、農政の抜本的な改革に入りました。米の値段は90年代以降一貫して下がり続けています。しかし、消費者は「高い」と感じ、生産者は「儲からない」と感じています。では、なぜこのようなギャップが生じたのでしょうか。
1961年制定の農業基本法は、農業の規模拡大によるコストダウンにより、農業所得を増やして農工間の所得格差を是正することを目的としていました。農場の規模を拡大すれば、コストは低下し農業所得は向上するはずでした。兼業農家では、規模の拡大はできないため専業農家が増えると兼業農家の農地貸出しが増え、専業農家に土地を集約させることができ、規模の拡大が促進されると考えていました。そのために、まず専業農家の所得を向上させ、他の農地の賃貸をしやすくする必要がありました。このため政府は米価を高く設定しました。しかし、現実には規模の小さい農家は高い米を買うよりもコストが高くても米を作ることを選択しました。この結果、農地の貸出しが行なわれないまま米価は高いものになってしまいました。農地の貸出しが行なわれなかったため専業農家の規模の拡大はできず、生産コストを下げることはできませんでした。このため専業農家は副業農家の所得を大幅に下回る結果になりました。
また、高米価に支えられた農業資源は、収益のよい米に向かい麦などの生産は減少し、米の生産が急増しました。この結果、米市場は縮小に向かっていくことになりました。高米価で生産が維持向上されるなか米が余るようになってきましたが、米価は下がらず、米の消費が減少するということが起きました。1962年の国民一人当たりの消費量は118kg/年から2002年には63kgになりました。当然、米価だけの問題でなく食生活の変化も大いに関係しているものと思われます。このような政策が行なわれましたが、農家1戸あたりの耕地面積は40年かけて0.9ヘクタールが1.2ヘクタールに増えただけでした。さらに農家が減少するなか、農家だけの減少にとどまらずに農地も同時に減少していきました。
 1970年から実施された生産調整は、年々拡大し現在では270万ヘクタールの水田の4割に相当する100万ヘクタールに及んでいます。これは、およそ1400万トンの生産能力がある中で、560万トン近くの生産調整をしていることになります。生産調整をする一方で自給率が低いといい、その一方で毎年600万トンの小麦を輸入しています。
 生産調整は、生産が非効率で米作収入への依存度が低い零細副業農家に生産調整面積を多く配分すべきなのに、規模や効率に関係なく単に一律に行なわれました。このため零細農家が滞留し、農業以外の所得が多い第2種兼業農家の比率が3割から7割に増え、産出額に占める主業農家のシェアは、麦74%、野菜83%、牛乳96%、米37%となっており、米の主業農家があらわに減少しているのが分ります。主業農家の規模拡大を支援するため、零細副業農家を米作から他の作物に変換させるための転作奨励金も減額され続けました。
 農政本体にも大きな矛盾が生じ、農家個人所有の田畑整備のため、毎年1兆円規模の農業基盤整備事業が、農家の負担がわずか10%で実施されてきました。コストダウンを図り効率を上げることで、農業所得を増やすのと同時に農産物価格を低下させて消費者にメリットをもたらすというのが、農地整備という私的な投資を公共事業で行なう根拠でした。しかし、その一方では農産物価格を下げないことを目的とする生産調整に30年間で6兆円、過剰米処理に3兆円以上を投入しました。ここにも消費者に対する政策と農業従事者に対する方策が相まって矛盾を作っている事を感じさせます。結果的に副業米単作農家の所得792万円は、勤労者所得646万円をうわまわりましたが、食糧供給の主体となる米の大規模農家の育成には妨げとなりました。また、農業全体から見ても、高米価政策は生産調整と減反、農地面積の縮小、自給率の低下、消費者の米離れ、という形で農業に打撃を与えました。                          
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