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地球白書17-12

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<第12章>ブラジル、ひいては世界の経済界を動かす

Mobilizing the Business Community in Brazil and Beyond

 現在の経済モデルは、「産業革命以来、数十億もの人々を赤貧から救い上げた秀逸な
ものだった」との評価もあるが、社会的側面からインクルーシブ(発展とその恩恵を、
差別なく多様な人々にもたらす事を目指す)ではなく、環境的側面から収奪的であり、
また私益を公益に優先させてきた。要するに、膨大な貧困層を含む70億の人口が気候
変動の脅威に直面している21世紀の世界には、対応できないのである。

 インクルーシブで責任あるグリーン経済を定義するのは簡単であろうが、実際に構築
するのは難題である。構築するために、既存の多国間協定を地域経済に取入れる方策は
数多くある。例えば「新たな国民計算体系の導入」「様々なレベルの排出量取引制度の
推進」「自然資源や生態系サービスの適正な価格付と支払システムの確立」「多国籍企業
への、雇用貢献も含めた様々なCSRの督励」「持続可能な生産と消費のパターンの確立」
「メディア・リテラシー教育等新たな教育モデルへの取組」「都市を持続可能なものに
転換する取組」「持続可能な国家計画を支援する国際基金の創設」等がある。

 いずれも、世界経済の大幅な方向転換を意味するが、今日の世界の惨状を考慮すれば
必須の方策である。企業の社会的責任(CSR)の動きは、市場や社会の改革抵抗勢力への
抑止力になりうるが、その限界も明らかになってきた。

 第1に、市場は、CSR評価に基づき企業に利益・不利益をもたらす仕組を構築してこなかった。
第2に、持続可能性の文化は未だ、企業に経済活動の大幅な方向転換を強いるほど成熟して
いない。

 情報や知識や関心が不足しているためか、浅薄なレベルに留まっているためか、メディア
や企業、大学、市民等、なべて「お気楽」に受身の様相である。最後に、重要な事だが、
人間としての倫理的・根本的価値観が、企業の意思決定プロセスで重視されていない。
未だに効率、低コスト、高収益、スケールメリット等が、持続可能性の価値観よりも
優先されている。

 これらの障害を乗り越えるには、市民団体が経済界に飽く事なく関与し、さらには
実効性ある規制の実現に邁進しなければならない。

著者:Jorge Abrahao is president, Paulo Itacarambi is vice president, and
Henrique Lian is head of institutional affairs at the Ethos Institute in
Brazil.


ワールドウォッチジャパン ワールドウォッチジャパン(08/04/15転載承認済み)






平成27年5月18日




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