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土壌微生物8 窒素の無機化と有機化

目次を作りました。順番に見てね

土壌のしくみ
土壌微生物8
窒素の無機化と有機化
 窒素は、タンパク質や核酸などの形で微生物の細胞の中に存在します。アミノ酸は2〜11個の炭素に1〜4個の窒素が結合したものです。このようなアミノ酸の分子は小さく微生物でも容易に吸収できます。しかしタンパク質は数百のアミノ酸分子が結合して、大きな分子として存在し、核酸はそれ自体が大きな分子として存在します。この為、微生物は一旦細胞外酵素で分解して小さくしてから吸収します。微生物はエネルギーを得るために吸収したアミノ酸の窒素をアンモニウムと炭素に切り離し、炭素部分からエネルギーを獲得して、炭素を二酸化炭素として放出します。

 100gの有機態炭素を餌としたときの、炭素の使用
表題カビ好気性細菌嫌気性細菌
エネルギー変換50〜70%90〜95%95〜98%
細胞成分合成30〜50%5〜10%2〜5%
土壌微生物の細胞成分は平均すると、炭素1gに対して窒素0.15gの割合で構成されています。
このことから計算して、有機炭素100gに対して細胞成分の合成に必要な窒素は、
表題カビ好気性細菌嫌気性細菌
必要な窒素量4.7〜7.5g0.75〜1.5g0.3〜0.75g

 窒素含有率の高い有機物では、窒素が過剰に余まってアンモニウムとして体外に放出します。これを「窒素の無機化」といいます。また、でん粉やセルロースなどの窒素をまったく含まない物質を餌としたときには、土壌に存在しているアンモニウムなどの無機態窒素を吸収して、細胞成分を合成します。これを「窒素の有機化」といいます。
 稲わらでは、炭素に富、窒素に乏しいので、稲わら1tで約7kgの無機態窒素が有機化されます。

菌体の養分蓄積
 土壌微生物の菌体を構成する元素の割合は、菌体の水分80%を除いた乾燥体で、菌体中の炭素100gに対して、窒素15g、リン11.6g、カリウム9.8g、カルシウム1.4gの割合で存在しています。10aの畑には生菌体で約700kg、乾燥体で約140kgが存在する。この乾燥体の50%は炭素なので、上記の菌体の成分割合から換算すると、炭素70kg、窒素11kg、リン8kg、カリ7kg、カルシウム1kgが10aの畑に存在することになります。また通常作物の施肥量はN10kg、P4.4kg、K8.3kgなので、10aの畑に存在する菌体の養分は施肥量に匹敵し、植物の養分の供給源として優れていることになります。

菌体の養分放出
 菌体が飢餓状態になると、体内にある貯蔵物質を使って基礎代謝に必要なエネルギーを補給します。貯蔵物質がなくなると、当面必要のない細胞成分を利用して生命維持に必要なエネルギーと成分をつくりださなければなりません。このように飢餓状態で行なう生命維持を「維持代謝」といいます。維持代謝の過程でエネルギー獲得の為に、二酸化炭素が放出され、少量の窒素やリン酸も放出されます。菌体は死滅すると、自ら分解していきます。細胞壁の内側の成分は、低分子有機成分や無機成分に分解され、細胞外へと出て行き、細胞壁は難分解性なので、土壌に存在する難分解性土壌有機物に組み込まれていきます。
 細胞壁の外へ放出された成分は、ほかの菌体に利用されますが窒素やリン酸などは過剰となるので、再度細胞外へと放出され、他の微生物や植物に利用されます。

地力窒素
 作物を生育するときに、生育期間に吸収する窒素量(10kg/10a)を施肥するが、肥料から直接作物に吸収される窒素は4kg程度で、残りは土壌で無機化されて、その一部を作物は吸収します。土壌で無機化された窒素を総称して「地力窒素」と呼んでいます
土壌の乾燥、すりつぶし、石灰施用などにより地力窒素の放出が促進されることが知られていますが、特に有効なのがくん蒸剤による土壌消毒で、消毒により菌体の大部分が死滅し、生き残った菌により無機化がおこなわれます。他にも畑の土をからからに乾燥させて水を加えると、同じように地力窒素は向上します。これは「乾土効果」として古くから使われてきました。同じ効果では水田の方が効果が高いです。こうした土壌管理による地力窒素の放出は通常3〜4週間しか持続しません。





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