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ランド・クラブ

 

目次を作りました。順番に見てね






 

広がる農地収奪

 

Worldwatch Institute2012/9/10
VITAL SIGNs

 世界で2000年以降に、民間及び公的投資機関に売却又はリースされた農地面積は推定7020万ヘクタールに及んでいる。その大半は2008年から2010年にかけて取引されたもので、ピークは2009年であった。当研究所のキャメロン・シーアによれば、2010年はピーク時より相当に減少はしているが、2005年以前の水準で依然として取引が行われている。
 さて、このような動きはランド・グラブ(農地収奪)と呼ばれ、その定義もさまざまであるが、本稿では「民間及び公的投資機関による、農地の大規模な購入」とする。20124月、ランド・マトリックス・プロジェクト(世界の45を上回る調査組織及び市民組織から成るネットワーク)が冒頭の7020万ヘクタールの1,006件の取引内容の詳細なるデータを発表した。
 そのデータによれば、このランド・グラブの最大の舞台はアフリカで、その面積は3430万ヘクタールに及んでいる。なかでも、東アフリカに集中していて、310件の取引があり、面積は1680万ヘクタールを占めている。この背景にあるのは、世界からアフリカに向けられた海外直接投資が2000年から2010年の間に2.59倍に増加している事である。
 アフリカに続くのが2710万ヘクタールのアジア、そして660万ヘクタールのラテン・アメリカである。
 一方、投資側には82か国がリストアップされていて、これほどの集中はみられない。敢えてまとめれば、ブリックスのブラジル・インド・中国の3か国の合計が1650万ヘクタール、全面積7020万ヘクタールの24%を占めていることになる。工業化が進むアジアの3か国、インドネシア・マレーシア・韓国の合計は、取引件数274、面積3050万ヘクタールに及んでいる。

 アメリカとイギリスは合わせて640万ヘクタールになる。乾燥地帯に位置する有力な
産油国、サウジアラビア・アラブ首長国連邦・カタールの3か国の合計は460万ヘクタールである。 南アフリカ・中国・ブラジル・インドには投資側であると同時に、その対象にもなるという両側面がある。世界的にみれば、2つの特徴が挙げられる。まず、新興国が近隣の文化的にも近い国を投資対象にランド・グラブを展開している事である。いまひとつは、経済力の強い国、あるいは経済力を強めつつある国が、とりわけ農地の少ない場合に、財政的に貧しい国、その一部は食料の輸入依存度が強く近年の農産物価格高騰によって暴動が起きたような国の農地を買い上げている事である。

 2007年から2008年にかけて複数の途上国における食料暴動の原因となった世界的な農産物価格高騰は、国際市場における需給逼迫、従来は供給側にあった一部の国における輸出禁止措置に加えて、思惑的な投機資金が市場に大量に流入した事も大きく影響した。食用農産物の国際価格が高止まりするなか、その投機資金は2009年のランド・グラブにも向かった。加えて原油価格が基本的には上昇を続けるなか、バイオ燃料への需要が高まり、その原料となる農産物の作付地の拡大のためのランド・グラブにつながった。
 ランド・グラブには不透明な部分が多い。そのターゲットになる途上国、とりわけアフリカでは土地所有権が確立していないことが多く、現地の住民は経済的見返りや代替農地もなく、実質的には追い出されることになる。自然と折り合いながら受け継がれてきた在来農法にくらべ、短期的な生産を最優先するような収奪的近代農法が持ち込まれれば、それだけ環境への負荷は大きく、現地の人々の生活環境も悪化するであろう。

 

平成24913

ワールドウォッチジャパン

ワールドウォッチジャパン(08/04/15転載承認済み)



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