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やさいの環境2

目次を作りました。順番に見てね


季節野菜の栄養                   
 季節によって野菜の栄養がどのように変化するか調査した報告書がありました。調査の対象品種は、「ジャガイモ、カボチャ、キャベツ、鞘インゲン、セロリ、トマト、人参、ホウレン草、ピーマン、ブロッコリー」の10種類で、測定した栄養素は、「カルシウム、リン、鉄、ナトリウム、カリウム」の5元素と「体内でビタミンAになるカロチン、水溶性ビタミンB群の1つナイアシン、ビタミンC」の3つのビタミン類と「水分」でした。
 調査の結果、1年間を通してミネラルと酵素の成分になるナイアシン、水分もあまり変動はありませんでした。しかし、冬が旬の野菜は、夏に水分が多い傾向にありました。
 一方、変動が大きかったのはカロチンとビタミンCでした。カロチンの値は、人参・トマトで最低月は最大月の半分以下、ブロッコリーでは1/3程度まで落ちました。ビタミンCの変動はカロチンよりも大きく、ジャガイモでは100gあたりの含有量が最大月で38mg、最低月で8mg、ホウレン草では最低月で最大月の1/5、ブロッコリーでは半分程度まで落ちました。この変動の要因は最大月がその野菜にとって旬の時期だったからです。「野菜の栄養は旬の方がやはり高い」ということです。今日では通年を通して生産が出来るようにはなりましたが、栄養価には格差はあるようです。ハウス野菜と露地野菜、国産野菜と輸入野菜の栄養価の違いについては、ハウス栽培が多いピーマンと輸入品が多いカボチャは、ミネラルもビタミン類も年間を通して変動は小さく、ホウレン草は、夏物はビタミンCが少なく、ミネラルは冬物と同じで、生でも食べられる特徴を持っていました。

 前述までは、野菜の栄養価が低下の傾向にあることを記述しましたが、だからと言って栄養がないと言っているのではありません。野菜は免疫学から言っても充分に取る必要性があります。アメリカの対がん治療の一つでゲルソン療法があります。これは有機栽培で育てた野菜類を多く摂取することで治癒できる可能性を秘めたものです。1997年に世界のがん研究基金の支援によりがんと食事の関係が発表され、この研究データーからがん予防15ヶ条が作成されました。この結果は、個別の野菜や特定の成分よりも野菜や果物を総量として充分に取ることが有効であることを示しています。野菜や果物の有効性は特定の成分だけではなく、多くの成分が複合的に作用しているものと思われています。
 このような研究結果からも野菜は充分取らなければならない栄養であることは間違いありません。極力栄養の低下を防ぐ方法を考え、家庭でも栄養価の消失を防ぐ工夫が必要です。生産から消費者までの間では、個別の検討ではなく全体的な相互検討が必要です。

野菜の栄養摂取の目安
野菜の成分を記したものに「日本食品標準成分表」があります。文部科学省によると日本食品標準成分表は我が国において常用される食品の標準的な成分値を1食品1標準成分値を原則として可食部100gあたりの数値で示したものとしています。では、どれだけの栄養価を一日に摂取しなければならないのでしょうか。日本人の必要栄養所要量にいついては、厚生労働省が発表している「第6次改定日本人の栄養所要量」に示されています。 しかし、第6次改定日本人の栄養所要量ではミネラル13種類が掲示されていますが、五訂日本食品標準成分表には8種類のミネラルしか掲載されておらず、掲載されていない5種類のミネラルを自分で調べなければなりません。また、必要成分から見た野菜の検索も、1つ1つの野菜を調べていかなければなりません。やや手間がかかりますが、「日本食品標準成分表」と「日本人の栄養所要量」を組合わせてみたところで、食事のバランスを考えることも大切です。

野菜摂取量の変化
 ご存知のように食の欧米化とともにお米の消費も減少してきております。この現象は、お米のみならず野菜でもしかりです。この10年間の日本人の野菜摂取量を見ると、米国人と比較しても少なくなっています。1987年の一人1日当たりの野菜摂取量は300g以上ありましたが、15年後の2002年には269gまで低下しています。

1人当たりの野菜摂取量の推移(アメリカ対比)

上記の表から見ても分るように現代の日本人が如何に野菜不足(栄養素不足)か分ります。アメリでは生活習慣病やがんが減少しているのに日本では逆に増加傾向にあります。当然この野菜摂取量の差が影響していることは明白です。

世代別野菜摂取量

加齢が進むにつれ健康への意識が高まっているのが分ります。しかし、若年層でも生活習慣病にかかる人の割合が増えてきています。野菜は低年齢から摂取することで長年に亘る健康が維持できるものです。

世代別果物摂取量

 果物の摂取はちょうど働き盛りに差し掛かると低下に向かっています。社会環境の影響も多分にあると思われますが、働き盛りで一番体が栄養を必要とするときに摂取量が低下していることは非常に問題です。

野菜の摂取の推進
 野菜の摂取量は年々減少の経過を辿っています。これは食の欧米化が進んだことに原因があります。この食の欧米化にともない、生活習慣病が急増してきました。このため医療費も増加してきて平成15年度では31兆5千億円以上にも達しています。国民一人当たりの医療費は247,100円で国民所得に占める割合は8.6%にもなっています。現代人の食生活の栄養素は脂質や炭水化物、たんぱく質に偏ったものとなり、体の体調を整えるビタミン、ミネラルなどが不足してきており、その結果は野菜・果物不足として顕著に表れています。現代人の野菜摂取量は平均で280g程度で、なかでも20歳から40歳代での野菜不足が目立っています。
 そこで政府は平成12年3月「健康日本21」と称して、生活習慣病及びその原因となる生活習慣等の課題について、「栄養、食生活、身体活動と運動、休養、こころの健康づくり、たばこ、アルコール、歯の健康、循環器病、がん」の9つの分野ごとに、2010年を目処にした「基本方針」、「現状と目標」、「対策」を打ち出しました。食育基本法、健康増進法などもその一環として執り行なっています。 健康日本21では、野菜と果物の摂取目標を野菜で1日350g、果物で1日200gとしています。

ベジフルセブン 
青果健康推進委員会が健康を維持するために必要な野菜と果物の摂取基準を「ベジフルセブン」として推進しています。ベジフルセブンは、野菜(350g)と果物(200g)の摂取目標量を、毎日の生活の中で面倒なく実践する方法として、摂取量を1皿=1スコアとして一日に7スコア(皿)を食事の基本としています。日本の食生活において平均的に野菜一皿はおよそ70gで果物一皿は100gなので、この組合せだと野菜5皿で350g、果物2皿で200gの摂取となるわけです。野菜(ベジ)5スコア(5皿分以上)+果物(フル)2スコア(2皿分以上)=「ベジ フルセブン(7スコア)」

5 A DAY
アメリカでは、このような取組として1991年米国のPBH(農産物健康増進基金)とNCI(米国立がん研究所)が協力し合って、がん予防をめざした国民健康増進運動として「5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)」を実施しました。これは、アメリカでがんが死亡原因のトップになったため、発がん原因の35%を占める食習慣を改善が急務となったことが発端になります。その内容は「健康増進のために1日5〜9サービングの野菜と果物を食べましょう」のスローガンを掲げ、 バランスの良い食生活指針として「フードガイドピラミッド」をもとに、毎日の生活の中でどうしても不足しがちな野菜と果物を1日5〜9サービング食べることの提唱です。以来、5 A DAY for Better Health Programが栄養改善とがんの予防の最も一般的な考えとされています。この結果アメリカでは、生活習慣病での死亡率が減少傾向を示し、わずか3年間で野菜の消費量が15%、果物の消費量が17%向上しました。この取組は世界の30カ国以上で実施されています。             





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