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植林

 
 

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2012/8/10

ワールドウォッチジャパン

Eco-Economic Indicator
気候変動緩和に向けて世界的植林を!
By Lester R.Brown

 地球に残された100億エーカーの森林を保護し、一方で伐採により失われた林地に再植林することは、生態系の修復と保全にとって極めて重要なことである。2000 年以降でみれば、年間植林面積が1900万エーカー、同消失面積が 3200万エーカー、結果として純減少面積1300万エーカーとなっている(表1参照)。森林と草地を修復・保全することは、土壌侵食や洪水の抑制および炭素貯留の増大につながる。

1 世界の森林面積(1990-2010
(単位:100ha
年   アフリカ アジア 欧州 北/中米  豪州   南米  世界

1990
   749   576  989   708   99    946  4,168

2000
   709   570  998   705   198    904  
4,085
2005
   691   584 1,001   705   197    882  
4,061
2010
   674   593 1,005   705   191    864  
4,033

注:1ha = 2.47 エーカー

出所:国連FAO, Forest Resources Assessment 2010: Global Tables (Rome, 2010).

 伐採は発展途上地域を中心に続いている。アジアでは、急増する木材需要とバイオ燃料の原料の需要増に対応するアブラヤシのプランテーションの拡大が、熱帯林の主な伐採要因である。ラテンアメリカでは、急増するダイズと牛肉への需要がアマゾンの森林伐採の主な要因である。アフリカでは、人々の燃料需要(薪)と農地拡大のための開墾が森林消失の主な要因である。

 近年の森林の炭素収支をみれば、熱帯における伐採による放出が年間22億トン、温帯における植林による森林の貯留が同7億トン弱、したがって純放出量は同15億トン強になる。これは化石燃料の燃焼による放出量の約14に相当する。
 森林消失につながる、さまざまな「需要」を縮小する余地はあらゆる国に存在している。先進諸国にとっては、まず木材パルプを原料とする紙の需要を縮小することと、紙のリサイクルを究極まで推進することである。紙の生産量の世界における上位10か国の紙のリサイクル率はさまざまであるが、際立って高いのが韓国で91%に及んでいる。

すべての国が、このレベルのリサイクルを達成すれば、製紙原料となる木材パルプ需要は現在の23以下になるであろう。
 発展途上諸国にとっては、まず燃料需要(薪)の見直しである。世界の森林から搬出される木質の半分をわずかに上回る部分を占めているのが、この燃料材なのである。アメリカ国際開発庁や国連ファンデーションをはじめとする国際支援組織は熱効率の高い改善型調理用ストーブの普及プロジェクトに対して、財政支援をしている。長期的には燃料材に依存する必要のない太陽熱調理器や再生可能エネルギーによって得た電力を利用するホットプレートの普及が望ましい。
 大きな課題は「責任ある伐採」の普及である。伐採は基本的には「皆伐」と「択伐」に分けられる。「皆伐」は対象区域の全てを伐採してしまうので、土壌侵食につながり、失われた土壌は河川や灌漑用貯水池に流入・沈積してしまう。「択伐」は一定の大きさになった成木のみを選択して伐採するので、森林の機能は天然更新も含めて保全される。
 産業用材目的の植林地に天然原生林の機能は果たせないが、森林消失の歯止めにはなる。2010年現在、世界には65200万エーカーの植林地がある。こうした植林地の大半では、製紙原料となるパルプ用材や合板原料材などが生産されている。天然材の供給が細っているなか、建設業界も合成材で対応している。産業用材目的の植林地が増大するにつれ、その生産性から湿潤な熱帯への展開が増えている。たとえば、1ha2.47エーカー)当たりの年間木材生産量はカナダ東部では4立方メートルであるが、アメリカ南東部では10立方メートル、さらにブラジルの新たな植林地では40立方メートルに及ぶ。国連食糧農業機関では、「植林地面積も単位面積当たりの年間生産量も増大しているので、こうした植林地の生産量は2005年から2030年の間に3倍以上になるであろう」とみている。そうなれば産業用材の大半の供給をまかなえるわけで、天然林へのプレッシャーを減らすことに貢献できる。
 「伐採禁止令」は政治的に極めて不人気そうであるが、環境劣化に直面した中国、タイ、フイリピンでは「部分的」あるいは「全面的」な「伐採禁止令」が施行され、これによって洪水や地滑りが抑制された。1998年、数週間にわたる長江流域の洪水によって、記録的損害を受けた中国は森林の洪水抑制機能を改めて認識した――「立木の洪水抑制機能は、その立木を伐採して得られる木材の3倍の経済価値がある。したがって、伐採を継続することは経済的に非合理的である」。
 グリーンピースやWWFをはじめとする国際的環境組織はブラジルのアマゾンおよびカナダの一部の北方針葉樹林の保全に協力することに合意している。ダニエル・ネプスタッドらは2009年に「サイエンス」誌において、アマゾン流域の伐採を抑制する2つの取り組みを報告している。ひとつは、ブラジル政府が2008年に発表した「伐採面積縮小目標」であり、一定の成果が認められれば、ノルウェー政府が10億ドルの推進費の提供を約束している。いまひとつは、「アマゾン流域の実質的伐採者」との汚名を回避すべく、ダイズと牛肉のサプライ・チェーンがアマゾンからの撤退したことである。
 土壌保全と炭素貯留のためにも、植林は重要である。伐採後の荒廃地、限界農地、劣化
した草地などが植林対象地になる。
 森林は気候変動を緩和する機能もあり、IPCCは森林および改善された森林管理の潜在的能力を調査した。結果、大気中の二酸化炭素の貯留能力は植林後の20-50年に及ぶ生育期間中にわたって、温帯地域の年間13kgに対して、熱帯地域では同50kgに及んでいたので、新規植林も再植林も多くは熱帯に位置する諸国で展開されるであろう。こうした大気中の二酸化炭素を貯留するための地球規模の植林の費用は、歴史的に圧倒的な放出を続けてきた先進諸国が拠出すべきであろう。さまざまな気候変動緩和策と比較して、「伐採抑制と植林」という対応は費用が低い。大規模な植林イニシアティブに関しては、その管理とモニターを担う独立的な組織を立ち上げればよいであろう。人類文明の存続のカギは直ちに緩和策を実行することであり、植林は最適な取り組みといえる。大規模な植林イニシアティブはいくつか提案され、すでに実施されているものもある。たとえば、UNEPPの「10億本植樹キャンペーン」に啓発されたワンガリ・マータイ(ノーベル賞受賞)がケニアと近隣諸国において展開した「30億本植樹運動」が挙げられる。現在進められている植林については、プラント・フォー・ザ・プラネット・ファンデーションが見守っている。2006年当初の目標は植樹10億本であった。その半分が活着していれば、大気中の二酸化炭素の貯留能力は合わせて炭素にて年間560万トンに及ぶことになる。2011年末で、120億本が植えられた。
 もちろん、自力で再植林に取り組み、成果を挙げた国もいくつかある。世界的モデルとして、韓国の緑化が挙げられる。朝鮮戦争によって山がちの国土の緑は大半が失われてしまっていた。1960年前後、当時の朴正煕大統領の主導により国家規模の展開がなされた。現在では森林面積は1500万エーカーに及び、国土の65%近くを被覆している。私は200011月に、講演のために同国に立ち寄り、緑あふれる国土をこの目にした。「できる!地球の再緑化も」。


平成24年8月13日

ワールドウォッチジャパン

ワールドウォッチジャパン(08/04/15転載承認済み)

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