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土壌のしくみ-12(化学性の改善)

目次を作りました。順番に見てね

土壌のしくみ1−12
3、化学性の改善
土の中の環境
 根が健康で心地よく感じる土の条件は、団粒構造の他に土の酸度があります。土の酸度とは、土が示す酸性やアルカリ性の反応です。土の酸度は降雨量によって変化します。雨は、その成分に微量の炭酸を含んでいますが、この炭酸中の水素イオン(H+   )が土のコロイド(膠状物質)に吸着されているカルシウム(Ca+  )やカリウム(K+  )などの塩基と置き換わって吸着され、塩基性のカルシウム、カリウムは流出してしまいます。土はもともと塩基性の成分に富んでいるので、降雨量の少ない地域ではアルカリ性の反応を示しますが、日本では雨が多いのでほとんどの地域で酸性反応を示します。通常多くの作物は弱酸性から中性に近い範囲を好みます。これは強い酸性やアルカリ性では作物が必要とする養分を吸収できなくなるものと考えられています。また、酸度が強くなると土に含まれるアルミニウムが溶け出して根の生育を悪くし、さらには根から吸収されたアルミニウムが作物全体の生育を阻害するものと考えられます。

主要素と土の結びつき
 作物を毎年栽培し続けると土中に含まれている養分は、しだいに吸収され不足してきます。そこで、肥料を施すわけですが、主だった肥料は、窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の三大要素ですが、植物の三大栄養素のほかにマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)を加えて5要素と呼ぶこともあります。また、イオウ(S)、鉄(Fe)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)など微量要素も必要です。これらが不足すると生育障害が現れることもあります。では、どのようにしてこれら要素は土と結びついているのでしょうか。

コロイドとイオン
 肥料養分の多くは土中ではイオンの形で土と電気的に結びついています。土は大小の粒子からできていますが、そのうち最も細かい粒子は1ミクロン(1/1000mm)以下の「コロイド(膠着物質:こうちゃくぶっしつ)」となっています。土のコロイドは粘土の細かい粒子や有機物が分解してできた腐植と微生物で形成されおり、これを膠着複合体といいます。この膠着複合体は電気的な性質をもっており、普通の場合はマイナスに荷電しています。
 肥料として施される養分のほとんどは分子的には陽イオンでプラスに荷電しています。このため土のコロイドのマイナスイオンと結びつくわけです。中学で学んだことを思い出してみてください。分子は陽イオンとマイナスイオンで結びついており電気的に中性になることで安定します。そのため陽イオンの数と陰イオンの数が同等でなければなりません。イオンの数が同等でなければ不安定な状態となり,そこに同等のイオン数の分子が来ると、より安定しようと分子結合が入れ替わります。このようにして分子は安定をしようとします。このような働きによって肥料として施されたカルシウム(Ca2  +  ),カリウム(K+  )、アンモニウム(NH   4+  )、マグネシウム(Mg2  +  )などの塩基性イオンは、土のコロイドに吸着されている水素イオン(H+  )と置換されて保持されます。これからも分るようにコロイドと結びつくのは陽イオンをもつ分子であり、コロイド自体がマイナスに荷電していることが分ります。肥料でもマイナスイオンを持つ窒素肥料の硝酸態窒素(NO   3ー  )、リン酸(PO   42  ー  )はマインスに荷電しているコロイドと結びつかずに、土中に溶け込んでいます。このため雨や灌水によって流されていきます。また、リン酸は土中のアルミニウムと結合して根に吸収されにくい化合物に変わります。日本は火山が多くその火山灰土にはアルミニウムが多く含まれており、リン酸吸収係数が高くなっています。このためリン酸は3要素の中では最も必要量が少ないのですが多めに施されています。このように肥料養分は土のコロイドに電気的に吸収され、またあるものは土壌溶液に溶けた状態で存在しています。作物の根もイオンで呼吸しますので、コロイドは保持していた塩基と水素イオンを交換して作物に栄養を与えます。根はそのときどきに作物が必要とする栄養分を選択的に吸収します。

塩基:水酸基〔化学式 OH 〕を有する化合物。酸と中和して塩(エン)を生じる化合物。水溶液はリトマス試験紙を青変する性質がある。

科学的によい土
 土のコロイドに吸着する肥料養分の量は土の種類によって大きく差があります。砂質の
土ではコロイドができにくいので吸収性が弱く、粘土分の多い埴土や腐植を多く含む土は吸収性が大きくなります。つまり砂質の土では、肥料を施しても雨や灌水で流れやすいため肥料切れがおこりやすく、また土の中の水に溶けている量も多いため肥料やけの心配も大きくなります。一方粘土と腐植が多い土は肥料もちのよい、地力のある土といえます。作物にとって化学的にいい土とは、肥料が吸収しやすい形で保持されている土です。従って陽イオンを多くひきつけるマイナスイオンを持つ粘土と腐植の多い土ほど好ましいといえます。

CEC(塩基置換容量)
 土の粒子は無機養分を保持して作物が吸収したいときに供給する働きをもっています。その働きを担っているのが粘土と腐植、およびこれが結合してできた粘土腐植体(膠着複合体)です。これらはその表面にマイナスの電子を帯びていて、プラスイオンを引き付けて保持します。どれだけの量のプラスイオンを保持できるかは、コロイドの持つ電子数で決まります。このことを「陽イオン交換容量(塩基置換容量:CEC)」といいミリグラム当量(me/100g)で表します。CECの大きい土ほど養分を保持して供給する力が強い地力のある土です。


 図18のようにCECの大きい土には肥料を多く施してもそれを蓄える能力を持っていますが、CECの小さい土では土壌溶液に肥料分が溢れ出して、作物に濃度障害を起こさせたり、地下に流亡したりして地下水の硝酸態窒素濃度を高めたりします。

粘土鉱物と腐植のCEC                  CEC(me/100g)
種類CEC種類CEC
カオリナイト3〜15バーミキュライト100〜150
ハロイサイト10〜40クロライト10〜40
モンモリロナイト80〜150アロフェン30〜200
イライト10〜40腐植30〜280

土壌の種類とCEC                   CEC(meq/100g)
土の種類CEC土の種類CEC
砂丘未熟土3〜10赤色土15〜20
淡色黒ボク土15〜25灰色台地土15〜30
腐植質黒ブク土20〜30灰色低地土15〜25
黄色土10〜15多湿黒ボク土30〜40

 腐植や粘土腐植複合体はCECが大きく、堆肥投入によって土壌中の腐植を増やすことは土の養分保持力の向上につながります。CECはそれぞれの土壌固有のものなので、土壌診断において、その数値を正確に把握することが適切な堆肥投入と施肥を行なう基本です。

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