地球白書17-17

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<第17章>地方政府を正す

Getting Local Government Right

 1992年、リオ地球サミットで172か国の政府は次の同意をした。――環境問題への最も
適正な対応がなされるのは、全ての関係者が、それぞれのレベルで参加する場合である。
国レベルでは、地域内の有害な物質や行動に関する情報を含め、公共機関が有する環境
関連情報への適切なアクセスと、意思決定過程への参加機会を各個人が有すべきである。

 各国は、情報を広く利用可能にする事で、人々の意識を高め、参加を促すべきである。
補償や救済等、司法手続きや行政手続きへの有効なアクセスも提供されなければならない。

 リオ宣言のうち第10原則は、環境民主主義原則と呼ばれる事もあり、現代の環境対策の
基本的要素が含まれている。第1回のリオ会議以降、事業計画への市民参加がほぼ一般的に
なり、またオーフス条約として知られる「環境に関する、情報へのアクセス、意思決定に
おける市民参加、司法へのアクセスに関する条約」が成立する等、各国政府は第10原則の
実践を大きく前進させてきた。同条約は、環境民主主義に関して唯一、法的拘束力を有し
ている。

 ローカル・アジェンダ21は、地方レベルでの持続可能な開発に向けたものであり、地方
自治体の重要性も認められていて、十分に機能すれば、地方レベルでの決定が貧困改善・
雇用拡大・男女機会均等・環境整備を確実なものにする。

 地方レベルでの透明性・市民参加・説明責任の重要さには、国際的合意があるが、進捗度
は一様ではない。第10原則を実行に移してきた革新的地方政府もあるが、遅れているところ
も多く、持続可能な開発の障害となっている。汚染産業の区域設定・安全な飲料水の供給・
廃棄物管理・採掘の許認可や契約等に関する重要決定事項は、地方に委ねられている事が
多いからである。

 地方分権というプロセスも大抵は不完全で、新しい法律を可決する権利や新規事業を
実践する財源が地方政府に無い場合もある。地方分権が始まっていても、旧来の
インフォーマルな政策決定システムや民間分野等の非民主的システムが、説明責任を
負う地方自治体の役割遂行を阻む事もある。また、地方政府が不正な選挙結果として、
法律的・実態的に民主的でない事もある。

著者:Joseph Foti is a senior associate at the World Resources Institute
in Washington, DC, which serves as the global secretariat for the Access Initiative.

ワールドウォッチジャパン ワールドウォッチジャパン(08/04/15転載承認済み)






平成27年6月1日




地球白書17-16

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<第16章>持続可能な繁栄をもたらす生態系サービス

Ecosystem Service for Sustainable Prosperity

 西欧社会は経済成長を追求し続け、「公共部門や共有部門よりも民間部門」「多数に
よる資産の形成よりも少数による資本の蓄積」「本来の財やサービスを生産する実体経済
よりも金融を優遇する制度」に、重きを置くようになってきた。平均所得と限界税率の
段階的低下により、公共財へ支出する資金が減少し、同時に所得格差と生態系劣化を
まねいた。多くの途上国も同様の道筋をたどり、結果、自国内に経済格差を生む事に
なった。

 人類のフットプリントは過大になり、社会経済の真の進歩の阻害要因が基幹的インフラ
の不足というよりも、自然資源や生態系サービスの制約である場合が多くなってきた。

 人口増加と所得増大によって、人間の諸活動が「地球システムの境界」を超えようとして
いる今日、「繁栄」を再定義する必要がある。まず理解しておくべきは、「経済の最終
目標は、人間のウェルビーイングと持続可能な生活の質の改善にある」という事、そして
「淡水・土壌・清浄な空気・安定した気候・廃棄物の処理・授粉等々の必須な生態系
サービスを提供する生態システムこそが、人間のウェルビーイングに真に貢献している」
という事である。

 生態系サービスに対する過剰な消費と貧弱な保全の結果として、人類が生物物理学的な
危機に直面している事を認識したならば、市場経済の影響を緩和し、生態系という公共財
の資質と量を保全するために、制度や技術に資金を投じる必要がある。所期の成果を得る
ためには、精緻に構築された財産権体系を骨子とする、新たな制度が必要である。
 
 生態系に対する明確な財産権を確立するためには、全てを私有化してしまう事なく、
私有、国有そして共有という三様の財産権を的確に組み合わせた制度が必要である。

 そうした制度の例として、様々な規模のコモンズ・トラストが考えられる。トラスト
では、既存の多くの土地トラストがそうであるように、コモンズを私有化せずに財産化
する事が可能である。コモンズ・トラストは、人間のウェルビーイングにある意味で必要
不可欠で、自然によって提供される資源である重要な自然資本を保全・修復する事が
できる。

著者:Ida Kubiszewski is a research assistant professor and Robert Costanza is
Distinguished University Professor of Sustainability at the Institute for
Sustainable Solutions at Portland State University.

ワールドウォッチジャパン ワールドウォッチジャパン(08/04/15転載承認済み)






平成27年5月28日




地球白書17-15

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<第15章>生物多様性:「第6の大量絶滅」との闘い

Biodiversity: Combating the Sixth Mass Extinction

 1992年のリオ地球サミットで、世界の指導者は、生物多様性条約に合意し、地球の生物
資源を守るための共同誓約を行った。しかし、世界は急速かつ継続的に生物多様性を喪失
している。例えば、ニシクロサイ、カスピトラ、ピレネーアイベックス(ブカルド)の
ように、既に絶滅した例外的な哺乳類ばかりでなく、驚くべき数の動植物が絶滅の危機に
瀕している。パンダ、トラ、ヨウスコウカワイルカのような昔からの、いわば看板種が
野生では絶滅し、繁殖プログラムによってのみ生存しうる状況を迎えるのは、そう遠い
事ではないかもしれない。

 生物多様性条約の事務局は、生物多様性の喪失の主要原因として、「生息場所の攪乱」
「乱獲」「汚染」「外来種の侵入」「気候変動」を挙げている。過去数十年間で、人間は
生態系をかつてなかったものに変化させてきた。経済成長を確保し、食料、資源及び空間
に対する需要を満たすために、地球上の多くの自然地域は農林業用地や都市・工業用地等
の人工的環境へと改変されてきた。

 2005年の「ミレニアム生態系評価」では、24の生態系サービスのうち、「淡水資源」
「海洋魚の個体数」「清浄な空気や水の供給」をはじめ、15のサービスが減衰している
と評価されている。

 生物多様性喪失という深刻な負の影響に加えて、倫理的な観点からも、人間はどの種が
生き残り、どの種が絶滅するかを決める権利を有してはいない。また、生物多様性は人類
中心主義の観点からも重要である。つまり、感動すら覚える豊かな自然の中で、生物多様性
を楽しみたいと望むばかりでなく、人間の必需品である食料・清浄な水・薬・燃料・生物学的
素材等を確保するためには、生物多様性によって生態系を正常に保つ事が必要なのである。

 国連環境計画の研究によれば、世界総生産の0.5%を自然資本部門の修復及び保全に
投ずるならば、新たな雇用や富の創出が可能になると同時に、気候変動、水不足の拡大
及び生態系サービスの喪失に関するリスクを最小化できるとしている。つまり、生物多様性
を保全する事は、経済的繁栄を達成する上で根本的な第一歩にほかならない。

著者:Bo Normander is the director of Worldwatch Institute Europe.


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平成27年5月27日




地球白書17-14

 
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<第14章>気候変動に脅かされる、世界のフード・セキュリティと平等

Food Security and Equity in a Climate-Constrained World

 工業的大規模畜産では、トウモロコシとダイズを主原料とする濃厚飼料(抗生物質と
成長促進ホルモンが添加される事が多い)を与え、ブタは6か月、ブロイラーは6週で
出荷できる。過密飼養のために、土地の使用面積も相対的には小さく、森林伐採や土壌
浸食と無縁かのようであるが、大量の飼料生産に広大な農地を要している。

 さらに畜産には、根源的に「不効率」が存在する。スタンフォード大学のR・ナイラー
の研究によると、食肉からのカロリーを摂取は、直接的に穀物を食する場合の2〜5倍
(工業的大規模畜産で生産される牛肉なら10倍)の穀物が飼料原料として必要になる。

 世界全体では、ダイズの85%はダイズミールと油に加工され、そのミールの90%は飼料に
振り向けられる。中国は世界市場で取引されるダイズの半分以上を買付けているが、大半
はブラジル産で、そのダイズ生産量の40%以上に相当する。この輸入によって、中国は
自国でダイズを生産するならば必要になったであろう「バーチャル・ウォーター」を輸入
しているわけで、これは同国が必要とする水の14%に相当する。ユネスコの研究によれば、
世界の農業部門の「ウォーター・フットプリント」の29%は畜産部門が占めている。

 地球規模での畜産拡大は、気候変動の促進要因となる。国連食糧農業機関(FAO)の
2006年発表の研究によれば、二酸化炭素換算で地球温暖化ガスの世界の排出量の約18%は
畜産部門が占めている。一方、世銀の環境専門家の分析では、18%ではなく51%とされている。

 近年のFAOの報告によると、人口と所得の増大を考慮した場合、2050年の世界人口に
不足のない食料を供給するには、食料生産量を70%増大させる必要がある。一方、世界の
土地の25%が劣化し、地表水も地下水も不足と汚染が深刻化すると指摘している。さらに、
気候変動が気候パターンを変化させた場合、農業内部の畜産・主食作物・非食料作物・
バイオ燃料原料作物の間での、水と土地を巡る競合が広がると警告している。このシナリオ
では「大規模畜産と増大し続ける畜産品の消費」の軌道修正こそが、解決すべき重要課題
としている。

著者:Mia MacDonald is executive director of Brighter Green, a nonprofit
public policy action tank based in New York City that focuses on the
environment, animals, and sustainability, and a Senior Fellow at Worldwatch
Institute.


ワールドウォッチジャパン ワールドウォッチジャパン(08/04/15転載承認済み)






平成27年5月26日




地球白書17-13

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<第13章>持続可能な未来を育み発展させる

Growing a Sustainable Future

 20世紀、石油化学製品である肥料や農薬を使用し、高収量品種の農作物(商業的栽培種
は約150にすぎない)の生産を支える灌漑取水量の増大に世界中の関心が集中した。この
路線により、農作物の単収は増加したが、「土地と水資源の劣化(地球上の植物が生育
できる地域の約24%は人間が引き起こした土壌劣化の影響を受けている)、生物多様性の
喪失(この1世紀で植物遺伝資源の75%が消失)、環境汚染、温室効果ガスの排出等」の
環境的影響、および「不平等の拡大、貧困層や女性の社会的疎外、気候や経済の激変に
対する地域社会やその構成世帯のレジリアンスの喪失等」の社会経済的影響がもたらされた。

 2011年初時点で、世界の7人に1人、およそ9億2500万もの人が慢性的栄養不足状態に
あった。こうした貧困層の多くは、自ら必要とする食料を得るに足る、金銭も生産手段も
所有できない小規模農家か農村の賃金労働者である。しかも、食料価格の高騰や気候変動
による予測不可能な気象といった、飢餓の新たな元凶に直面している。

 途上国の5億の小規模農家で生産された食料によって、約20億人が養われている。しかし、
最も食料事情が不安定なのが、同じ小規模農家なのである。実際、栄養不足人口のおよそ
80%は、農村部に居住している。そうした小規模な食料生産者と農業部門の賃金労働者の
多くは女性である。アフリカの一部では、女性は収穫と流通販売活動の60%、貯蔵と輸送
の80%、鍬入作業と除草の90%、基本的食品の加工の100%を担っている。

 しかし、信仰・政策・慣習における男女間の不平等な関係と根強い偏見が、総体としての
不平等性を生みだしている。女性は意思決定過程から排除され、多くの場合、土地・水資源・
融資・情報・普及サービスの利用機会がない。

 女性は、農林漁業への援助総額の7%しか受けていない。国連食糧農業機関によれば、
男性と同レベルの利用機会が確保されれば、女性の農場の産出高は20〜30%増加し、世界
の慢性的栄養不足人口は12〜17%減少する。さらに、女性が家計の所得を管理すれば、
家族の食料消費、子供の栄養、教育、及び生活全般の改善に、お金が使われる可能性が
高まる事が研究によって示されている。

著者:Monique Mikhail is sustainable agriculture policy adviser at Oxfam.

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平成27年5月19日




地球白書17-12

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<第12章>ブラジル、ひいては世界の経済界を動かす

Mobilizing the Business Community in Brazil and Beyond

 現在の経済モデルは、「産業革命以来、数十億もの人々を赤貧から救い上げた秀逸な
ものだった」との評価もあるが、社会的側面からインクルーシブ(発展とその恩恵を、
差別なく多様な人々にもたらす事を目指す)ではなく、環境的側面から収奪的であり、
また私益を公益に優先させてきた。要するに、膨大な貧困層を含む70億の人口が気候
変動の脅威に直面している21世紀の世界には、対応できないのである。

 インクルーシブで責任あるグリーン経済を定義するのは簡単であろうが、実際に構築
するのは難題である。構築するために、既存の多国間協定を地域経済に取入れる方策は
数多くある。例えば「新たな国民計算体系の導入」「様々なレベルの排出量取引制度の
推進」「自然資源や生態系サービスの適正な価格付と支払システムの確立」「多国籍企業
への、雇用貢献も含めた様々なCSRの督励」「持続可能な生産と消費のパターンの確立」
「メディア・リテラシー教育等新たな教育モデルへの取組」「都市を持続可能なものに
転換する取組」「持続可能な国家計画を支援する国際基金の創設」等がある。

 いずれも、世界経済の大幅な方向転換を意味するが、今日の世界の惨状を考慮すれば
必須の方策である。企業の社会的責任(CSR)の動きは、市場や社会の改革抵抗勢力への
抑止力になりうるが、その限界も明らかになってきた。

 第1に、市場は、CSR評価に基づき企業に利益・不利益をもたらす仕組を構築してこなかった。
第2に、持続可能性の文化は未だ、企業に経済活動の大幅な方向転換を強いるほど成熟して
いない。

 情報や知識や関心が不足しているためか、浅薄なレベルに留まっているためか、メディア
や企業、大学、市民等、なべて「お気楽」に受身の様相である。最後に、重要な事だが、
人間としての倫理的・根本的価値観が、企業の意思決定プロセスで重視されていない。
未だに効率、低コスト、高収益、スケールメリット等が、持続可能性の価値観よりも
優先されている。

 これらの障害を乗り越えるには、市民団体が経済界に飽く事なく関与し、さらには
実効性ある規制の実現に邁進しなければならない。

著者:Jorge Abrahao is president, Paulo Itacarambi is vice president, and
Henrique Lian is head of institutional affairs at the Ethos Institute in
Brazil.


ワールドウォッチジャパン ワールドウォッチジャパン(08/04/15転載承認済み)






平成27年5月18日




地球白書17-11

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<第11章>より持続可能な消費に向けた公共政策

Public Policies on More-Sustainable Consumption

 世界全体の消費財の需要は、完全に持続不可能な水準に達している。WWFによれば、
世界の需要は、地球が持続可能な範囲で供給できる再生可能資源の1.5倍に相当する。
消費主義によって高度に支配されている先進65か国は、2006年の世界の消費支出の78%を
占めていたが、世界人口に占める割合は16%にすぎない。また、地球の友ヨーロッパ等の
共同報告書によれば、毎年、600億トンの資源が採取されている。これは30年前の約1.5倍
である。

 企業の変化を促進する上で、市民社会の役割は重要である。例えばグリーンピースは、
「インドネシアの熱帯雨林を破壊し、地元住民の生活を脅かし、オランウータンを絶滅に
追いやっている」と同組織が判断した企業から、パーム油を調達しているネスレ社に
対し、世界中の人々が怒りをぶつけるように働きかけた。

 結果、同社は「サプライチェーンの中で『森林破壊と関係する高リスクのプランテー
ションや農場』を所有あるいは管理する企業を特定・排除する」と約束した。

 「持続可能性」や「持続可能な消費」を追求するための公共政策の変化のうち、最も
重要なのは、持続可能な製品やサービスには減税、より持続不可能なものには増税する
事である。例えばスウェーデンでは、「グリーン・カー」は自動車税が5年間免除され、
その他の車も全て、自動車税がその車種の二酸化炭素排出量に従って調整されている。

 政府は、その行為が常に注視されていて、しかも大きな購買力を有する事から、自ら
実例となって先導する事が重要である。例えばサンパウロ市では、屋外広告が禁止され、
市民が商業広告にさらされる機会が著しく減った。この政策で撤去された広告は1万5000枚
に及んだ。

 政府はメディアに対し、持続可能な消費の教育に取り組ませる力がある。例えばブラジル
環境省は、ポリ袋の使用を削減する目的で教育キャンペーンを展開した。2009年6月に開始
した当初はウォルマートと、後にカルフールとパートナーシップを組み、ラジオCM19本と
テレビ・映画館用の公共広告フィルム3本を使い、独創的な形で、ポリ袋の環境への悪影響
を示した。

 結果、10か月後には推定50億枚のポリ袋が削減され、環境中に放出されずに済んだ
のである。

著者:Helio Mattar is president of the Akatu Institute for Conscious Consumption
in Sao Paulo, Brazil.

▲▼特別頒布▲▼
ワールドウォッチ研究所
『地球白書 2012-13:持続可能で心豊かな社会経済を目指して』
 本体価格 ¥3000円を
 2,750円(送料・税込)にて限定特別頒布。

ワールドウォッチジャパン ワールドウォッチジャパン(08/04/15転載承認済み)






平成27年5月16日




地球白書17-10

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<第10章>見せかけだけのエコから、真に持続可能な建築物へ

From Light Green to Sustainable Building
 都会であれ田舎であれ、人は建築環境の中で暮らしている。建設部門は、淡水総使用量の
12%をはじめ、世界の資源消費総量の少なくとも3分の1を占める。エネルギー生産量の
約25〜40%が建築物の建設や運用で消費され、二酸化炭素の総排出量では約30〜40%を
占める。また、固形廃棄物の30〜40%が建設から発生する。経済面では、建設部門は世界
総生産の約10%を占め、建築物は公的・私的資産の大きな割合を占める。近年、世界で
連鎖的に生じた経済破綻でわかるように、金融市場の安定は、担保となる不動産の長期的
価値と関連する。雇用では、建設部門は維持管理も含めると国家レベルで雇用創出の
5〜10%を占める。

 世界では、途上国を中心に都市化が進んでいる。現在の趨勢が続けば、2030年には都市
人口は約14億人増加し、うち途上国が13億人を占める。増加人口は住宅やサービス、雇用
を必要とするようになり、つまりは新たな建築物が必要となる。今後、地球上ではかつて
ないほどの建設が行われるだろう。これらの建築物全てが、長期的な影響力を有する。

 市場への影響は未だ僅かとはいえ、「環境配慮型の建築物」が流行するようになった。
だが、近年あらゆるものが猛烈に「環境配慮型」として売り込まれているために、「真に
持続可能な建築物」と、建設業者や資金供給者による、エコに見せかけた「グリーン・
ウォッシュ建築物」との判断が、購入者には極めて困難になっている。

 「真に持続可能な建築物」は、単に「環境に配慮している」事ではすまない。屋根に
ソーラーパネルのある新築家屋は「エコ住宅」に見えるかもしれないが、家族の通勤・
通学や買い物のために車が何台必要になるのだろうか? 公共交通機関はあるのだろうか?

 壁材にはどのような木が使われて、どのような処理がなされているのだろうか? 
 
 この家の給湯器や電化製品に、どれだけのエネルギーが必要なのだろうか? その
エネルギーは石炭の燃焼で得るのだろうか? ソーラーパネルはそのエコ住宅に必要な
だけの、あるいは余剰電力までも発電できるのだろうか? 建築主は、居住地域外の
地目で建築許可を取得するために、地元政治家に金銭を渡しはしなかったのだろうか?

 建設労働者のための保険には加入していたのだろうか?――厄介な質問のリストは続く。

著者:Kaarin Taipale is a visiting researcher at the Center for Knowledge and
Innovation Research of the Aalto University School of Economics in Finland.
She is the former chair of the Marrakech Task Force on Sustainable Buildings
and Construction.

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平成27年5月12日




地球白書17-9

 
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<第9章>90 億人到達前に、人口増加を止める9つの戦略

Nine Population Strategies to Stop Short of 9 Billion

 政策立案者もメディアもまず言及しないが、世界人口を90億人到達前に、減少に転じる
有効な対策がある。それは、《必要とする全ての人への、安全で効果的な避妊具への
アクセス確保》《女子を差別しない初・中等教育の保証》《法律・経済機会・保健衛生・
文化における性差別解消》《年齢に応じた性教育の広範な実施》《子供の数に基づき両親
へ金銭的報酬を与える政策の廃止》《人口・環境・発展の相互関係の授業導入》《環境負荷
を反映した価格体系確立》《高齢化先送りのための出生奨励策から、高齢化適応策への
転換》《「人権確立と人間開発実施を通した人口増加の終結」を目指す国際的合意の確立》
等の事である。

 貧困層の子孫は、人並みに消費を拡大する経済発展を期待するはずである。従って、
将来人口が少なければ、その世代による気候・環境・自然資源への負荷が小さい事になり、
これは世界のウェルビーイングにとって、マイナス面のないシナリオである。

 死亡率上昇による人口増加の早期終結を望む人は、道徳的にはいない。しかし、気候
変動・食料生産・エネルギー供給の動向から、可能性がないわけではない。個人の出産を
制限する政策は、十分な世論の支持は得られないであろう。しかし、健康で教育を受け
経済活動に積極的に従事している人々、とりわけ女性と少女を支援する政策を通して、
出生率を大幅に低下させる方法は、世界での多様な実践によって明示されている。

 途上国において、避妊具への女性のアクセス確保に必要とされる家族計画と関連する
妊産婦と子供の医療サービスには、毎年、約246億ドルを要している。一方、世界では
毎年、約420億ドルがペットフードに費やされている。

 数十年前、先進国及び途上国の大統領や首相が、自らの責務は人口増加抑制にあると
表明するのは珍しい事ではなかった。現在は当時の2倍の人口が、以前よりも高水準の
生活を求めている。従って、政治指導者が人口増加を終結させる重要性を、敢えて認める
事は、従来になく重要である。しかし、メディア界や市民社会は幾分か異なるのであろうが、
様々な理由から、「人口問題」は政治や国際社会にあってはタブーとなっている。

著者:Robert Engelman is president of Worldwatch Institute.

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平成27年5月1日




地球白書17-8

 
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<第8章>持続可能性のガバナンスに向けた、新たな国際機関の構造

A New Global Architecture for Sustainability Governance

 1972年に創設された国連環境計画(UNEP)には、地球環境の調査とその結果に基づく
修復と保全、政策的選択肢の提供、環境に関する認識の普及と活動の推進、国連組織内の
環境活動の調整、各国の能力の開発等の使命が課されていた。当時、環境問題へのより
良い成果を得るにあたって、UNEPは他の国連システムの強みを活用できる面から、敏速性
や適時性、適応性に富んだ効率の優れた機関と評価されていた。

 創設されて40余年、この間に、環境的状況及び政治的状況のいずれにおいても、様相は
一層複雑さを増したのだが、基本的な構造上の疑問は手付かずで取り残されてきた。

 それは、「持続可能性に向けての、国際的組織の最適な構造とは、いかなるものか」と
いう疑問である。

 さらに地政学的背景や環境的課題、そしてグローバルな集団決定を下す緊急性に重大な
変化があったにもかかわらず、UNEP創設にあたっての基本的な構想・機能・形態に関して
は、特段の変革もなく今日に至っている。

 UNEPの立案者たちは、国連システムにおける数多くの機関を、連携した環境行動にどの
ようにして向かわせるかについて、格別の見識を示してきた。UNEPをどのようにして強化
するか、あるいは補助機関から専門機関へと移行させるかについて、加盟国が熟慮するに
あたっては、UNEPが既に持っている力量、過去に経験した成功例と課題事項、そして全て
の障害や制約の根本原因を理解する事が重要である。

 委託された権限を、UNEPが一層、強力に行使できるようにする、つまり成果を上げられる
ようにするためには、単に新しい名称(例えば、世界環境機関や国際環境機関等)を与え
ても、それは全体として不十分なものでしかないであろう。この組織の内的な、あるいは
外的な看過できない弱点を修正してゆく事が、より効果的で長期永続的な結果につながる
のであろう。

著者:Maria Ivanova is assistant professor of Global Governance at theMcCormack
Graduate School of Policy and Global Studies at the University of Massachusetts
Boston.


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平成27年4月30日




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