堆肥の施用

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土壌のしくみ
堆肥14
堆肥施用量の計算
 堆肥を圃場に施用するときは、堆肥に含まれる肥料成分量を差し引いて計算します。施肥設計については第1章で計算方法を記載しています。肥料成分の過剰は環境汚染と作物に悪影響を与えます。また、作成した堆肥の特性として仮比重・容積重・C/N比・各成分率・及びCEC・水分量などは知っておく必要があります。これは最初にどのような目的での堆肥を作るかを検討して、その目的にあった各数値の目標数値を設定して堆肥作りを行なうことで効果を最大限に引き出すものです。そのためには主原料及び副原料の成分・水分・C/N比なども知らないと目的に沿った堆肥作りはできません。

施用方法
 施用方法により土壌に影響を与えるものと作物そのものに影響を与えるものがあり、目的にあった施用方法を選ぶことが大切です。
・全面全層施用
 畑全面に堆肥を散布した後に20cmほどを耕運機で耕して堆肥と土壌を混合します。土壌の改良効果があり、土全体が軟らかくなります。また、全面散布のため成分の高い堆肥でも濃度障害がでにくくなります。

・局所的な施用
 堆肥を作物の周辺に施用する方法で、手間がかかるが効果が顕著であり堆肥購入も少なくなり経済的にも経費がかさばらずに済みます。方法としては次のような方法がりあります。
  ・植え穴施用:作物を植え込む穴に施用して、表土と混ぜます。
  ・作条施用 :畝になる部分に施用して畝を起こします。深さ15cm程度で作条に堆肥が混じっています。
  ・溝施用  :溝を掘ったところに堆肥を入れて、土を戻して畝を起こします。
  ・穴施用  :株間や根の伸びる方向に穴を掘って堆肥を入れ、土を被せます。
  ・環状施用 :果樹などの木冠下に環状的に堆肥を施用します。
   植え穴施用、作条施用ともに作物の下層に当たる部分にまとめて施用して、表面の土と混ぜるように施用します。トマトやナスのように大きくなる野菜には植え穴施用、ホウレン草や小松菜のように隙間なく栽培するものは作条施用が適しています。植えつける下層に施用するので、短期的に効果が期待でき、すぐに定植をしても問題はありませんが、肥料成分の多いものや未熟堆肥では障害を起こすので注意が必要です。

・マルチ施用
 作を植えつけた後に土の上を被覆(マルチング)する方法で、表面を覆うため水分が逃げるのを防いだり、雑草の発芽を抑制する効果などがあります。

土壌のしくみ 終了です。参考になりましたか?
色んな本を参考にして見てください。著者によっていろんな見方ができます。
生育診断については、下記の本を参考にしてください。


堆肥の投入の仕方

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土壌のしくみ
堆肥13
混合堆肥の使い方
温度による違い
 微細物の活動は温度によって影響されるので注意しておかなければなりません。土壌中の微生物の活性が最大になるのは30〜35℃であるため、当然冬場より夏場のほうが、無機態窒素の量が多くなります。冬場はゆっくりとした分解になり、無機態窒素の発生が少なくなります。このため施用にあたり、冬場では窒素成分の有効化率を低く見る必要があります。また、温度の高い夏場でも、乾燥土壌では分解力は低下します。土壌の水分量は、最大容水量(最高に水が吸収できる量)の50〜60%が適しています。

使用目的別堆肥
 堆肥の使用目的としては‥攵蹐諒理性の改善、∪己性の改善、M槓の供給とがあり、肥料成分の多い堆肥はの養分供給に向いており、仮比重が軽い堆肥は,諒理性の改善、△寮己性改善では,鉢の性質の堆肥が向いています。

作物にあった堆肥の投入
 作物や生長過程によって養分の吸収のしかたには違いがあります。これを分類して見ますと大まかに三つのタイプに分かれます。

・しり上がり型
 初期にゆっくり育て、根や果実の肥大期から収穫期までに養分を多く必要とするもので、大根・にんじん・スイカ・カボチャ・メロンなどがあります。

・平均型
 生育全期にわたり養分を必要とするもので、トマト・キュウリ・ナス・ねぎなどの生育期間の長いものが該当します。

・先行型
 生育初期から養分を充分に与えなければならないもので、生育期間の短いものでホウレン草・コカブ・サツマイモ・ジャガイモ・レタス、などが該当します。

 家畜ふんの肥効性をみてみると、鶏ふんは速効性であり、牛ふんは遅行性です。速効性と遅行性の特性を組み合わすことで長期にわたり肥効性を保つことができます。しり上がり型は牛ふん堆肥、先行型は鶏ふん、平均型は牛ふんと鶏ふんの混合といった具合に、作物の生長特性にあった堆肥を投入することが、いい作物をつくる条件となります。

 家畜ふんで作る堆肥は、単一畜種のふんでつくられるが、混合することにより、優れた堆肥を作ることができます。また、食品カスなどを混合すれば新たな堆肥を作ることができます。土壌の面からも見て単一の堆肥を長く使えば、土壌中の化学成分や微生物相が固定化して、土壌に悪影響を与えることもありうるので、時期、作物、土壌の性質によって違う堆肥を施用することは、長く土壌と付き合ううえにも必要な「技術」といえると思います。

作物にとっての問題堆肥
 作物にとっての安全性は、まずは土壌環境です。土壌中に有害物質である環境ホルモンを含んでいたり、重金属が溶け込んでいたりしては、論外なことです。土壌の酸性度や塩類集積といった問題は、生産者自身がしっかり管理すれば問題になることはありません。

問題となる堆肥とは?
 堆肥は分解にあたりアンモニアを発生するので、アルカリ性を示します。その堆肥を施用すると土もアルカリになり、作物が病気になりやすくなるのでだめだとか言われていたことがありましたが、アンモニアは土壌中では硝酸態窒素に変わり作物に吸収され必然的にpHは下がるので問題にはなりませんが、過剰な硝酸態窒素は作物にとって窒素過剰となるので注意は必要です。しかし石灰やカリなどの多い場合(塩基飽和度が100以上)は、やはりアルカリ性を示し、養分過剰状態になり作物や環境に悪影響を及ぼします。また、未熟堆肥を施用してもアルカリ性を示しますが分解が進むと改善されます。但し、分解するのに時間がかかるため作物に悪影響を与えます。 pHが6以下の場合は、堆肥化が進まずに有機酸が蓄積しており、色が黄色で漬物臭がします。このような場合は根に障害を与えるので、充分に好気発酵させます。

 このほかにも食品の食べ残しや家畜尿などは塩化ナトリウムが多く含まれているので問題です。塩を構成するのは塩素とナトリウムですが、塩素は作物に必要な物質ですがナトリウムは必要ありません。塩素もナトリウムも作物に過剰害を及ぼす量は明確ではありませんが、これらの塩類が多いと土壌中の浸透圧が増大し、作物の根が障害を受けます。また、ナトリウムを多量に継続して施用すると、土の団粒構造が破壊されて硬くなり、作物が育ちにくくなります堆肥の乾物含量で塩(塩化ナトリウム)3%、あるいはナトリウムで1%を超えるものは使用しないことです。生ゴミでは原料を水きりして、家畜ふんでは尿が混合しないようにすれば塩濃度を下げることができます。

堆肥(化学肥料の投入)

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土壌のしくみ 第3章
堆肥12
堆肥の作り方
化学肥料の投入効果
 堆肥は自然由来の資材を微生物により加工していくものですが、補助的に化学肥料を使うことで多彩な効果を引き出すことができます。
石灰窒素
 石灰窒素は、堆肥の窒素成分を増加させるために使用されるもので、シアナミド態窒素を含むアルカリ性肥料で、窒素を20%含んでいます。主成分のカルシウムシアナミド(CaCN  2)は、土壌中で加水分解して尿素態になり、さらにアンモニア態、硝酸態に変化して作物に吸収されます。シアナミドが分解されるときにジシアナミドができ、殺菌、殺虫効果を発揮します。石灰窒素は20%の窒素を含んでいるので、重量で対比の2%程度を目安として施用すると、O157やサルモネラ菌、大腸菌などの殺菌効果が得られます。

過リン酸石灰(過石)
 リン酸資材で堆肥によく使われるのが過リン酸石灰で、リン酸の含量は17%程度で、そのうちの80%(過リン酸石灰のうち14%)が水溶性です。リン酸は窒素とともに微生物にとっては必須元素ですが、リン酸は水に溶けにくいので過リン酸石灰を混合すると、微生物の増殖を活発にします。また、過リン酸石灰のpHは3で強酸性のため、堆肥のアンモニアと結合してアンモニアの揮散を防ぎ、脱臭効果を発揮します。過リン酸は重量で5%以下の混合が目安とされています。

牛ふん堆肥のつくり方
 牛ふんと敷きわら(畜舎に轢いたわら)に水分調節材として稲わら、オガクズなどを用います。また、窒素の揮散を防ぐために過リン酸石灰を加えます。敷きわらと家畜ふんを混ぜて高さ30cm程度に積み、過リン酸石灰をふりかけ、水分調節をしながら踏み込みます。これを繰り返して1.8mくらいまでの高さに積みます。ふんと尿を分離しないで使用する場合はオガクズなどを混入して含水率を下げ、炭素率を上げて行ないます。積込み後は70℃以上に発熱させ、2週間に1度は切り返しを行ない、これを数回繰り返します。夏場で2ヶ月、冬場で4ヶ月で堆肥化します。
 豚ぷんや鶏ふんでは、稲わら類を多く入れて炭素率を上げてやり、逆に石灰やリン酸は多く含まれているので、過リン酸石灰は混合しないようにします。牛ふん堆肥の成分としては、窒素2%、リン酸2%、カリ2%程度で炭素率15〜20程度で、肥料効果があります。また、戻し堆肥を利用して生ふんと完熟堆肥を混合して行なうと、より効果的に微生物の活動が活発になります。

堆肥の施用
 堆肥を土壌に施用すると土壌中の微生物は、その堆肥に群がり堆肥の過程と同じよに分解が行なわれます。このとき未熟態では急激な分解となり、根に障害を与えます。堆肥化は、堆肥化である程度の分解を行ない、施用後ゆるやかに土壌中で分解が進むことで、根に障害を与えず、肥料効果を長持ちさせることができます。また、作物が養分を吸収するには、有機養分の無機化が必要であり、微生物が有機物を分解することで養分の無機化が進みます。堆肥化は、有機養分を無機化する役割も持っています。だから化学肥料は無機質なので即効性があり、過剰摂取になりやすい訳です。因みに堆肥施用後の難解物質の分解には数年かかります。

無機化
 堆肥に含まれる成分のうちカリは無機態で存在しているため、堆肥に含まれるカリの殆どが作物に利用できるが、窒素とリン酸は有機体のものが多く、そのままでは利用できません。土壌中で堆肥を分解する微生物は、堆肥に含まれる炭素の3分の2を呼吸作用で使用して、残り3分の1で体をつくります。このため微生物の炭素率は6.7程度とされている。炭素率20の堆肥を施用すると窒素1に対し炭素20あったものが、13.3の炭素が呼吸作用で二酸化炭素として失われたことになり、窒素1に対し6.7の炭素が微生物として残ります。
 炭素率が20以上の堆肥が土壌で分解を受けると、炭素の消費割合よりも窒素が少ないことになり、その分窒素を補う必要がでてきます。そこで不足の窒素成分を微生物は土壌の無機態窒素を給して補う(窒素の有機化という)ので、土壌の窒素成分が不足して作物は窒素飢餓に陥ります。逆に炭素率が20以下であれば窒素が過剰となるので、微生物は余分な窒素をアンモニア態窒素として体外に放出します(窒素の無機化)。この無機態窒素を作物は養分として吸収して生長します。

無機化率
 窒素の無機化において、堆肥に含まれる有機態窒素のうち、無機化する窒素の量の比率を窒素の無機化率といいます。炭素率が小さいほど無機化率は大きくなります。 
 窒素の無機化率
炭素率20%以上15〜2010〜1510以下
無機化率0%10〜0%20〜10%20%以上


 牛ふん主体の堆肥では、窒素の現物含量は1.1%含まれており、無機化率を20%とすると、堆肥100kgでは窒素を11kg含んでおり、施用したとき無機化で2.2kgの無機態窒素ができ、作物に吸収できるようになり、残り80%の8.9kgの窒素は土壌中に蓄積されることになります。この量は気温や堆肥の条件により異なりますので目安としての量です。
 堆肥は連年施用が基本であるため、窒素の土壌蓄積量(地力窒素)に充分な注意が必要です。生鶏ふんでは大部分の窒素が1年で分解して無機化しますが、生牛ふんでは半分の量が蓄積されます。これは生ふんの例であるので、堆肥ではすでに分解がなされているので、施用すると1年目に分解する量が少なくなり蓄積される量が多くなります。

有効化率
 有効性分量は、堆肥に含まれている養分が1年間で作物に吸収可能になる量であり、堆肥に含まれる成分量のうち、作物が実際に吸収できる量の割合を「有効化率」といい、その有効化率の量のことを有効成分量と言います。無機化率は有機態成分が無機化する量の割合で、有効化率はもともとから原料に含まれる無機態の成分量と無機化(微生物活動)によって生じた成分量を加算したものです。よって無機化率よりも有効化率の方が高くなります。窒素は無機態の含量が少ないため、無機化率と有効化率はほぼ等しく、カリは殆どが無機態で存在しているので有効化率というべきであり、石灰(カルシウム)と苦土(マグネシウム)は、ほぼ100%が無機態で存在しており100%有効化です。
 堆肥の施用で注意しなければならないことは、あらかじめ含まれている成分量を知った上で、肥料の施用量を計算して決定しなければなりません。

堆肥の堆積の仕方

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堆積のしかた
 堆積場所は排水ができるように工夫された場所で、通気性の良いところが望ましいです。堆積の規模は5〜6崢度の規模とし、これ以上大規模に行なう場合は、強制通気ができるようにし孔隙の多い資材を使い、通気性を確保します。また、積み方によって重量、通気性、に注意を払い、空気の通りをよくして酸欠にならないようにします。微生物の活動に適した温度は30℃から40℃なので、冬季に積み込むときは固めに積込み、温度が下がらないように外気に触れないように囲いなどで工夫します。また、囲いの大きさは一定にしておき堆積の量が分るようにしておくと便利です。 通常の積込では野外になるので、直射日光が当たらないように屋根やシートで覆うようにして、微生物を紫外線から守るようにします。微生物は紫外線に当たると死滅します。
 堆積したままの状態で分解させると、場所によって空気や水分の状態が違い、それぞれ変化が出るので、微生物の活動が均一化して行なわれないので、堆肥化がうまくいかなくなります。分解を均一化して行なわせるには、攪拌や切り返しを行ない、通気性を良くして且つ水分調節を同時に行ないます。分解を効果的にするには、最初の1ヶ月は週1回、その後は月1回は行なうようにします。このような切り返しで発酵温度(分解温度)を上げて維持できるようにして、できるだけ表面積を少なくして温度が上がりやすいようにします。

二・三次発酵
 完熟堆肥にするには、二次発酵・三次発酵といった後熟が不可欠であり、オガクズなどの木質資材では、難解物質が残るので、後熟発酵(分解)で低い温度での分解により、分解を進める必要がある。後熟発酵の堆積規模としては、1回に畑に使う量程度が扱いやすく、管理しやすい。またこのときも雨に当たらないようにしておき、水分調整もしておきます。完熟したものは害虫が侵入しないようにシートを被せ、長期保管するものは水分を30%以下にして、分解が進まないようにして施肥効果を保ちます。
堆肥化後の堆積は、雨に当たらないようにして、養分が流亡しないようにしておきます。雨によって流亡しやすい成分は窒素とカリでリンは殆ど流亡しません。このような成分の性質を利用して積極的に灌水させることがありますが、流亡液の処理を適切にしないと環境破壊(土壌・地下水汚染)につながります。

容積重
 容積重(比重)を調節することで、孔隙の調整を行ないます。土壌について第1章で説明した通り土の三相構造では気相は30%近辺が理想で、微生物が一番活発に活動できる値です。しかしこれは出来上がりの状態であるので、堆積中は容積重で0.5が目安とされていますが資材によっては多少変化します。容積重の測り方は10ℓのバケツに原料を詰めて、中身だけの重さを測ります。このときの重さが5kgのとき5kg/10ℓで、容積重が0.5となります。またこのときバケツの中身である原料を熱して水分を飛ばして再度、重さを測ったときの重さを最初の重さである5kgから引いた値が水分量となります。   
例えば熱して乾燥させた原料が3kgだと、水分量は5−3=2kgとなり、このときの水分量は2/5(もともとの重さ)=0.4で水分率は40%となります。水分率の測定に比べると、容積重はバケツと秤だけでできるので簡単です。また容積重が0.5以上あるときは乾燥させて水分を除いたり、チップのような隙間をつくる資材投入して行なえば簡単にできますが炭素率の計算などきちんとしなければなりません。
 堆積量が多いときは、その重量により原料が押し固められるため容積重は大きくなり、通気性が悪くなるので、強制通気・攪拌・切り返しが必要となります。

微生物資材
 堆肥を作る最大の要素は微生物の活動です。その微生物を積極的に使うものとして微生物資材があり、大まかに2つに分類できます。一つは優良な数種の微生物を混合したもので「微生物資材」と呼ばれるもので有用菌の自体の投与です。もう一つは二価の鉄化合物やマンガン化合物などの無機化合物を鶏ふんや米ぬかを混合した「発酵助材」と言われるもので、微生物にとって良好な環境をつくろうとするものです。この二つを総称して一般的には微生物資材と言われています。
微生物資材の有効性については科学的に実証されてなく評価は定まっていません。野積における微生物資材の投入は、それほど意味をなさず、一次発酵の時の分解促進程度しか用をなしません。密閉型の発酵層を利用する場合は、効果が認められるものの戻し堆肥を利用したほうが、より高い効果を発揮するようです。堆肥化に働く微生物は単一でなく、原料や環境条件の違いによっても微生物の種類は違ってきます。近年の遺伝子分析手法を用いた研究で外部から投入した微生物は、堆肥化の過程で死滅することが確認されています。このようなことからも自然での有用菌を活用することが望ましく、戻し堆肥を利用する方法と落ち葉や米ぬかを原料の積み込み時に混合する方法があります。

堆肥の調整

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土壌のしくみ第3章
堆肥
水分、窒素などの総合的な調整
調整のしかた
 低い炭素率を高めるには、窒素として硫安、尿素、石灰窒素などの化学肥料を投入するのが手軽にできます。なかでも石灰窒素は、堆肥をアルカリ性にするので微生物の活動が活発になり有効な手段の一つです。しかし、塩基飽和度を計算した投入でないと過剰投入になるので充分な注意が必要です。また、石灰窒素は特有の悪臭がするので周りの環境に対する配慮も必要です。これら化学肥料を混合する割合の目安として、窒素率は硫安21%、尿素46%、石灰窒素20%が望ましいとされています。また、鉱物質を利用するときは窒素の損失とアルカリ成分の過剰(養分過多)に注意が必要です。また、鉱物質なので比重が重たいので20%以下の混合にすることが望ましい。
 堆積時に過リン酸石灰を添加するとリン酸とアルカリ成分の補給となり堆肥化が進みます。しかし豚ぷんや鶏ふんが主体のときは、すでにふんの中に充分なリン酸や石灰を含んでいるので過リン酸石灰などの混合の必要はありません。

原料別含水率及び炭素率
原料名含水率(%)炭素率(%)
生牛糞75〜8514〜16
生豚糞65〜759〜12
生鶏糞40〜7068
生ごみ70〜8510〜15
おから77〜8410〜12
野菜くず37〜938〜21
剪定くず55〜7042〜87
もみがら10〜1280〜100
オカグズ10〜15100以上


原料別成分表  ◎多い ○やや多い △やや少ない ×少ない
主題水分炭素窒素リン酸カリ肥料効果土壌改良
生牛糞
生豚糞
生鶏糞
生ごみ
おから
野菜くず
剪定くず××
もみがら×××××
おがくず×××××




堆肥の作成 炭素率の調整

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土壌のしくみ第3章
堆肥
堆肥の作り方
炭素率の調整
 副原料は水分調整と同時に炭素率の調整も行ないます。炭素率の低い家畜糞尿には炭素率の高いオガクズを混ぜることで水分と炭素率を同時に調整しています。炭素率の調整は次のように行ないます。
まずは、原料と副原料の炭素と窒素の割合を調べておきます。炭素・窒素量は土壌分析センターで分りますので事前に調べておきましょう。炭素と窒素量が分れば、その原料に炭素若しくは窒素の含有率をかければそれぞれの含有率が分ります。

目標炭素率 = 
(主原料の炭素含有率×主原料の重さ)+(副原料の炭素含有率×副原料の重さ) /      (主原料の窒素含有率×主原料の重さ)+(副原料の窒素含有率×副原料の重さ)

主原料の炭素含有率をA、窒素含有率をB、主原料の重さをYとして
副原料の炭素含有率をC、窒素含有率をD、副原料の重さをXとし、目標炭素率をGとすると
算式の変形
(AY+CX)/(BY+DX)=G
(AY+CX)= G(BY+DX)
AY ― GBY = GDX ― CX
Y(A−GB)= X(GD−C)
X = Y(A−GB)/(GD−C)

投入する副原料の重さ=主原料の重さ×(主原料の炭素率―目標炭素率×主原料の窒素含有率)/目標炭素率×副原料の窒素含有率―副原料の炭素含有率




堆肥の作り方

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堆肥のしくみ
堆肥
堆肥のつくり方
原料と副原料
原料
 堆肥化で重要なのは微生物を利用して有機物を分解させることです。その為には分解しやすい環境をつくる必要があります。ここで重要なのが炭素率(C/N比)と水分量です。C/N比は20〜30、水分量は50〜60%が最も適しています。炭素率の低い原料である鶏ふん(C/N比7程度)では、窒素を放出して炭素率を引き上げようとします。また、炭素率が高い原料では窒素が不足しているため、窒素を入れることで分解が促進され堆肥化が進みます。炭素率が100以上の木質は、そのままでは発酵(分解)しません。炭素率が40以上のものでは、それだけでは分解が進まないので、重量換算してC/N比が30程度になるように窒素を投入すると、分解は進み堆肥化が進行します。主原料としては鶏ふん、牛ふん、豚ぷん、植物質のものがあり、また、これらを混合したものを用いります。これら原料は単独でも条件さえ整えば好気性分解により堆肥化が進みます。このような原料を主原料と呼びます。

副原料
 堆肥の原料の多くは水分を多く含んでおり、乾燥させるか含水率の低い副原料を投入して水分量を調整します。また、投入する副原料によって通気性を改善し、水分を飛ばしやすくして、微生物の繁殖条件を整えて行きます。このように水分調整や通気性の調整をする資材を副原料と呼んでいます。水分量が多いときには充分な孔隙ができるように軽く堆積し、水分量が少ないときには充分踏み込んで堆積することでもある程度の水分調整はできます。水分調整材としてオガクズを使う場合は、広葉樹を選ぶのが安全ですが、栗や桜はフェノール類が多く分解が遅く、針葉樹のマツ類では、分解が早く行なわれます。また、キノコの栽培地は、すでにキノコによってリグニン(難分解物質)の分解が進んでいるため、非常に堆肥化しやすい状態でありますが、含水率はやや高いけれども比重を下げ通気性の改善に役立ちます。
副原料の条件は、吸水性に優れていて、主原料と混合した場合に通気性を高めて、微生物の活動を活発にさせることができる素材であることです。稲わらや麦わらは比較的分解がしやすく通気性の改善に優れており、副原料として優れています。副原料としては、稲わら・麦わら、もみ殻、オガクズ・バーグ・チップや無機質資材のパーライトなどがあります。

水分の調整
 水分調整の方法は主原料に副原料である水分調整剤を混合して行いますが、このときに投入する副原料の割合はどの程度投入すればいいのでしょうか。それは次の計算式によって計算できます。
  水分を調整することは過剰の水分を、副原料に吸収させます
  (主原料の水分率 ― 調整目標水分率 = 過剰水分率)
  過剰水分率に主原料の重さをかけると余分な水分の重さが算出されます。
  (過剰水分率 × 主原料の重さ  = 余分な水分重量)
副原料に余分な水分を混合して目標水分率にするには、
すでに副原料は20%の水分を保有しているので
不足している水分量の割合のみ、水分を供給すればいいことになります
  (調整目標水分率 ― 副原料の水分率 = 不足水分率)

  副原料の重さに、不足している水分の率をかけると、不足している水分量が求められることになります。
  副原料の重さ×(目標水分量―副原料の水分量)=不足している水分量
  主原料の余剰水分量と副原料の不足水分量は同等で初めて、水分調整ができるので
  主原料の余剰水分量=副原料の重さ×(目標水分量―副原料の水分量)

これを変形して
主原料の重さ×(主原料の水分率―調整目標水分率)=
                  副原料の重さ×(目標水分量―副原料の水分量)
                   
副原料の添加量 = 主原料の重さ ×
         (主原料の水分 ― 調整目標水分)/(調整目標水分 ― 副原料の水分)

例)下記条件での、調整剤として投入する副原料の重さは
水分80%の生牛ふん10tに、副原料としてオガクズを添加する場合、オガクズの水分を20%とし、堆積する堆肥の水分を60%になるように調整する場合は、
上記算式を利用して
投入する副原料の重量 = 10 × (80−60)/(60−20)
           = 10 × 20/40
           = 10 × 1/2
           = 5t

原料:牛糞10t(水分80%)副原料:オカグズ5t(水分20%)水分調整済み原料 副原料+オカグズ15t(水分60%)



堆肥の諸条件

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酸素の重要性
 前述のように堆肥化には好気性微生物の働きを活用するため、酸素の供給は必要不可欠です。好気性微生物は酸素を使って有機物を分解し、分解熱(発酵熱)を発生させて腐熟と水分蒸発を促進させます。従って堆肥原料の通気性を確保するためには、攪拌や切り返しをして充分に酸素が行きわたるようにしなければなりません。酸素が不足した状態が続くと、嫌気性微生物の働きにより有機酸などの成育阻害物質や硫黄化合物、揮発性脂肪酸などの悪臭物質が多量に生成され、堆肥として使用できない状態になります。これとは逆に酸素が供給過剰(強制通気装置などで)になると、分解熱(発酵熱)は冷却され充分な温度にならず分解(発酵)が抑制され、未熟堆肥となります。このように含水率と通気性には密接な関係にあり、堆肥化の目安として含水率50〜60%で通気性が充分にある比重が0.6ということです。

炭素率
 微生物が活動するためのエネルギー源となる成分は炭素:Cで微生物が増殖するための菌体を構成する成分は窒素:Nが必要です。この割合C/N比20〜30が最適とされています。(C/N比については第1章及び第2章で説明しています。また、堆肥におけるC/N比の重要性については後術する良質堆肥づくりで説明します。)

PH 堆肥化の過程ではアンモニアが発生するため、堆肥化はアルカリ性の状態で行なわれ、pHが7〜8の弱アルカリ性のとき、有機物の分解が最大になります。このようにpHは微生物活性に大きく影響を与えます。しかし、堆肥化においては積極的にpHを制御することはあまりありません。これは、堆肥の原料が弱酸性のものが多く、分解が始まるとアンモニアが生成され、徐々にアルカリ性に保たれるからです。稲わらを使った堆肥化では石灰乳を散布しますが、これは酸性化を防ぐために行います。生ゴミ(厨芥類)のご飯などの炭水化物が多いものでは、堆肥化の初期に酸化性が進みpHが5程度に低下することがあります。酸性が続くと乳酸菌や酵母菌が増殖し、嫌気性の発酵になり腐敗へとつながるので、タンパク質の魚・肉の生ゴミと混合すると、酸性化を防ぎ弱アルカリ性での分解ができます。

堆肥化熱
 堆肥化にするとき原料に含まれる易分解性有機物が微生物によって分解され、このとき熱エネルギーを放出します。家畜糞での熱量は乾物1kgあたり4,000〜5,000kcal程度で80℃程度まで上昇します。発熱の程度は原料や堆積の規模によって異なりますが、切り返しによっても発熱しやすくなります。堆肥化では、この発熱を利用して水分の蒸散と病原菌(チフス・サルモネラ菌など)、寄生虫の卵、その他雑草の種など死滅させるのに70℃程度の発熱は必要とします。

微生物相
 堆肥1g中には1千万から1億個以上の多種にわたる微生物が存在しています。堆肥化は、特定の微生物だけで行なわれるのでなく、原料中にいる微生物が郡をなして、堆肥の進行状況とともに変化して行きます。これら堆肥原料に生息する微生物が高い能力を発揮できるような環境を整えることが堆肥化の技術であって、堆肥化の微生物を外部から加えることではありません。しかし、他の微生物を外部から加えることで堆肥化を促進させて行なうこともあります。これら微生物の力で完熟堆肥を作るものであり、その期間も原料によって微生物の分解速度が違うので、異なります。家畜糞単独の堆肥化では2ヶ月以上、植物質の単独原料では3ヶ月以上、剪定くずなどの木質が含まれるものでは6ヶ月以上堆積期間が必要となります。

堆肥の含水率

目次を作りました。順番に見てね
土壌のしくみ 第3章
堆肥 No6
微生物の環境保全
 堆肥化は微生物の活動によって行なうものなので、この微生物が活動しやすい環境を整えることが堆肥化の条件である。その条件はヾ淇緡─↓炭素率、pH、げ硬戞↓ト生物相であり、その中でも含水率と炭素率が主因です。含水率は通気性つまり空気量を調整し、炭素率は微生物のエネルギーの調整にあたります。

含水率
 含水量が少ないと微生物は増殖できずに好気性の分解が不十分になり、含水量が多いと酸素の不足から嫌気状態になり、好気性微生物から嫌気性微生物に主体が移り嫌気性下での醗酵が行なわれます。堆肥化に適した含水率は50%〜60%の範囲が一般的に適していると言われています。(第一章から進めている堆肥を基準とする含水率は57〜%65%です。)
 空気が不足した状態では堆積した内部は嫌気的になり嫌気微生物の働きで腐敗が起こる。また、空気が過剰だと冷却され充分な蓄熱ができず分解が進まなくなります。この空気の通気性の目安となるのが比重で、適正な比重は0.6としています。
水分率に密接に関与しているのは通気性で、通気の状態により適正水分率は変化します。強制通気装置のついた密閉型の発酵槽を用いると、含水率が70%以上でもよく発酵します。これは堆肥化における過程での発熱の際に水分量を空気中に飛ばすことで、水分量が調整されているためです。これとは逆に通気性の悪い条件では、含水率が50%でも分解(発酵)はうまくいきません。これは通気性が悪いために嫌気性微生物が活動を活発にするからです。このような通気性の悪い条件下では、含水率は50%以下のほうが良いこともあります。このようなことは、微生物の活動には酸素が必要で好気的条件をつくる必要があるからです。なぜなら微生物は、好気的条件が整った環境で、初めて水に溶け込んだ養分や酸素を利用できるからです。堆積重が重たいと分子間の隙間がなくなり、通気性が悪くなり充分な酸素を取り入れることができません。これが比重0.6が目安となる理由です。つまり含水率が高くても通気性を良くすれば微生物は活性化できるし、また含水率を下げることでも通気性は改善され微生物は活性化されます。

堆肥No5 堆肥と微生物 

目次を作りました。順番に見てね
土壌のしくみ第三章
堆肥No5堆肥と微生物の関係
(微生物については第2章で詳しく説明しています。)
醗酵と分解
 一般的に使われている醗酵は微生物の働きでできた生産物が、私たちの生活に役立つものを「醗酵」といい、役に立たないものを「腐敗」と呼ばれている。このことから農業生産における堆肥つくりの微生物の働きは醗酵と呼ばれている。しかし学術的にいうと酸素を使わない嫌気性菌の働きで物質を作ることを「醗酵」といい、酸素を使って有機物を分解する好気性菌の働きは「分解」といいます。
 堆肥化には一部の嫌気性菌も働きますが、大部分は好気性菌の働きで有機物を二酸化炭素と水に分解しながら堆肥化が進んでいきます。嫌気的条件で堆肥を作ると黄色がかった色になり悪臭が発生し腐敗状態になります。このように空気が充分に供給されないと分解は進まず腐敗へとなります。含水率が高いと積み込みが強くなり、堆肥の隙間が埋まり空気が通らなくなり腐敗へとなります。空気が充分に行きわたると好気性菌が働き分解へと進みます。

微生物の分解過程
 堆肥は、好気性微生物による分解作用によって、作られて行きます。堆肥化の期間は原料によって異なりますが、短い息間でも1ヶ月以上は要します。大き目のチップや剪定くずなどの木片のものでは1年以上の時間がかかります。また、水分量の調整がうまくいかないと小さなチップでも軟らかくならず硬いままの状態として堆肥中に残ります。このような状態では堆肥化の効率は上がらず、木質の分解はなかなか進みません。(難解物質が堆肥中に多く残ることになります。第2章の難解物質についての説明を参照のこと)

微生物による堆肥化の分解過程は3段階に分けることができます。

第1段階:初期分解
 堆肥化においてまず分解されるのは低分子の糖類やタンパク質、アミノ酸などの易分解性有機物が微生物によって分解されます。低分子の糖類はほとんどの微生物が分解し二酸化炭素と水に分けられます。デンプンは糸状菌や細菌の中でも特殊な種類の働きによってブドウ糖に変わり、他の微生物によって分解されます。タンパク質は微生物による加水分解を受けてポリペプチドからアミノ酸に変わり、アミノ酸はアンモニア・二酸化炭素・有機酸・アルコールなどに変化し、さらに他の微生物が分解をしていきます。タンパク質に含まれる窒素の50%〜80%がアンモニアに分解されます。嫌気性分解ではアミンやメルカプタンなどができ悪臭の原因となります。

第2段階:繊維質分解
 植物性有機物のほとんどは繊維質で、セルロースやヘミセルロース、リグニンで構成されています。微生物による分解はセミヘルロースが最も分解されやすく、リグニンは極めて分解されにくいです。堆肥化では50〜75%の含水率であれば糸状菌などの好気性微生物が働き、80〜95%の高い含水率では嫌気性微生物が発生し、好気性微生物の発育は阻害されます。

第3段階:リグニンの分解
 リグニンは複雑な構造を持つ化合物で、微生物による分解が困難なため、難分解性物質とされています。好気性の条件の下でリグニンは徐々に分解され、糸状菌や担子菌(キノコ)などのやや大型の微生物が分解をします。リグニンの分解が起こるようになると堆肥は黒褐色の良好な状態となり、堆肥の表面には担子菌が発生し、堆肥の中ではミミズが生息するようになってきます。このような状態を「完熟」といいます。

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